皇太子様への誕生祝い。
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ったからである。彼一人としてはとてもうれしい事なのだし、もっとやってもらいたいところなのだが、今回は恐れ多くも皇子様に差し上げるものなのである。いかに父親がプロモートし、いかに彼女が栄えあるセンターを3年連続占めていたと言っても、そんなものを差し上げれば即刻二人とも処刑される可能性が大だった。
あれこれと頼りになりそうな人の顔を思い描いていた彼の足が止まった。
「そうだ!フラウ・ミッターマイヤーのところに行ってみよう。聡明な元帥閣下の夫人であればきっと何か良いお考えがあるに違いない!!」
善は急げ、とばかりにケスラーはミッターマイヤーの邸にやってきた。幸い主人は留守であり、夫人だけが邸にいたのである。
「まぁ、どうされましたか?ケスラー閣下。」
突然の憲兵総監の来訪に驚くエヴァンゼリンに、実はこれこれしかじかで、とケスラーが説明し、なんとかお知恵をお借りできませんでしょうか、と頼み込んだ。
「そうでしたか、ですが私にもいざともなると・・・ヴォルフには既に赤ん坊用の肌着や産着を渡してしまいましたし・・・・。あぁ、そうですわ!!」
ちょっとお待ちになっていて、とエヴァンゼリンは身をひるがえして奥に消えた。
「流石はミッターマイヤー閣下の奥方だ。マリーカもよいのだが、やはり相談するのならば、最初からこのお方に――。」
すればよかった、という言葉は居間の奥から出てきたエヴァンゼリンを見た瞬間に口の中で消えてしまった。
「フ、フ!フ!!フラウ・ミッターマイヤー!!そ、それは一体――!!」
「あら、ご存じありませんでしたの?私も実はAIL48の1期生としてセンターを務めていたことがありましたのよ。」
エヴァンゼリン・ミッターマイヤーは小柄な燕を思わせる体をド派手なチェック柄のステージ衣装で着飾っていたのだった。それとともにもたらされた衝撃的な告白のあまりのインパクトにケスラーは眩暈を起こしそうになった。
「ですから、あなたの婚約者であるフロイライン・マリーカと共に新旧センターとして一曲差し上げるのはどうかしらと思ったのですわ。陛下もきっとお喜びになります。」
「いや、それは――。」
お褒めの言葉どころか、夫君ともども処刑台に上ることになります、とはさすがに言えなかった。
「きっと盛り上がりますわよ、代々のセンターが一堂に会してステージに立つのはめったにない事ですもの。」
「あの、ですから――。」
「そうですわ!!」
ミッターマイヤー夫人は声を上げた。もはやケスラーの姿など彼女の視界に映っていないかのようだ。
「せっかくですから、このステージを全銀河に生中継するのはどうかしら!総合プロデューサーのウェストパーレ男爵夫人に相談致してみましょう!」
言葉を失っているケスラーに、エヴァンゼリンはキラキラ光る眼で両手を胸の前で組み
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