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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十八話 ミッドウェー本島ヲ攻略セヨ(前編)
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このままでは左右から増援部隊が来て、挟撃されてしまう。
「紀伊。」
尾張がそばに寄ってきた。
「あの中間棲姫、普通の攻撃では倒せない。沖ノ島棲姫の時と同じよ。後ろから狙わなくては駄目なのかもしれない。」
「後ろ?・・・でも・・・・。」
紀伊は目の前の敵を見た。ミッドウェー本島はちょうどU字型の環礁に囲まれている。中間棲姫は最初陸上にいるのかと思ったが、よく目を凝らしてみると、U字型の出口をふさぐ格好で立っているのだ。
「後ろに回り込む隙が無いわ。」
やってみなくちゃわからないわよ、と尾張がいい、近江を連れて斜めに横切って進もうとしたが、中間棲姫と艦載機隊の猛攻を受けて、ひるんでしまった。ミッドウェー本島の周りには中間棲姫の後方の本島を除いて遮蔽物がない。正面に展開している紀伊たちでは、どちら側から回り込もうとも、必ず中間棲姫の目に留まり、攻撃を受けてしまう。
「くそっ!!」
尾張が舌打ちをした時だった。
「敵艦捕捉!!全主砲、薙ぎ払え!!」
凛とした号令が彼方の洋上に響き渡った。
「あれは・・・・大和さん!?」
紀伊が腕を押さえながらつぶやいた。
「そうよ!大和さん、陸奥さんたちよ!!」
讃岐が躍り上がった。
「きっと長門さんが別働部隊としていたのですね。だからこそ大きく迂回して中間棲姫の後ろに回り込むことができたんです。」
榛名が言った。
「こうしている場合じゃないわ。今よ、ありったけの砲弾を撃ち込んで中間棲姫の注意を引くわ!」
紀伊の指示にみんなうなずいた。大和、陸奥、磯風、浦風たちが接近する間、紀伊たちは再び砲撃戦闘を開始した。
「マダ来ルカ!!愚カ者メ!!」
中間棲姫が灼熱の中を叫んだが、次の瞬間大きな叫び声を上げていた。大和たちが放った砲弾が中間棲姫の後ろの命中したのだ。
「ガアッ!!」
振り向こうとした中間棲姫を今度は紀伊たちの主砲弾が襲う。挟撃された中間棲姫はもだえ苦しみながら崩れ落ちていった。
「オノレオノレオノレ・・・・!!勝手ナ艦娘共メ・・・・地獄ニ落チテシマエ!!」
断末魔の苦しみの中で中間棲姫が叫んだ。
「その言葉、そっくりそのまま返すわ。」
尾張が冷然と言い放った。
「私タチノ住処マデ奪イオッテ・・・・侵略者ドモメ・・・・・。ダガ、コレデ終ワリダトオモウナ!!」
憎々しげに言いながら中間棲姫は消滅していった。
「やった・・・・・。」
腕の痛みに耐えながら、紀伊はつぶやいた。その時には大きな勝利の歓声があたりを包み込んでいた。
「やった!!」
「やりました!紀伊さん!」
「紀伊姉様!!」
「勝利したぞ!」
どの艦娘も高揚感であふれている。紀伊もそれに飲み込まれそうになりながらも、しいてそれを押さえ、
「まだ終わっていません。速やかに長門さん、赤城さんに連絡――。
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