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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十八話 ミッドウェー本島ヲ攻略セヨ(前編)
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!!」
比叡が三式弾を装填し、これを敵艦載機に向けて放った。
「主砲、砲撃、開始!!」
榛名もこれに倣った。基地航空隊も上空にいる直援隊も負けていない。たちまち上空を無数の黒煙と炎が彩った。
「装填完了、諸元入力よし!!」
至近弾の雨をかいくぐり、振り払いながら紀伊が3姉妹を顧みた。
「いつでもいいわ!味方機は退避済みよ。」
尾張が応える。
「テ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
零式弾が空を引き裂いて飛び、敵艦隊、中間棲姫、そして艦載機隊の上空で爆発し、灼熱地獄の渦に叩き込んだ。
 阿鼻叫喚の中、次々と艦載機と深海棲艦が消滅していく。
「まだよ!!ありったけの零式弾を相手に叩き込んで!!」
紀伊が手を振った。ここで先制攻撃をして相手を灰にしてしまわなくては、思わぬ反撃を被ることになるからだ。
「テ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
灼熱の炎がミッドウェー本島をなめつくす。阿鼻叫喚にもだえ苦しんでいた深海棲艦たちもあらかた散ってしまったようだ。
これは勝ちか、紀伊の脳裏にそんな考えが浮かんだ時だ。
灼熱の狭間から轟音が立ち上った。それが何なのかを察知した紀伊は叫んでいた。
「回避!!」
巨大な水柱が立ち上り、直後強烈な痛みを左腕に覚えていた。
「ぐうっ!!」
第一機動艦隊との開戦で被弾した時は、まだ飛行甲板があったが、今回は直撃である。腕がちぎれ折れるかと思うほどの痛みに、紀伊は一瞬気が遠くなった。
「紀伊姉様!!」
「紀伊さん!!」
仲間が次々とそばに寄ってくる。
「だ、駄目です。まだ攻撃をやめないで!!」
紀伊が喘ぎ喘ぎ叱咤した。灼熱の中、傷を負いながらもまだ立っている中間棲姫がいる。
『オ前タチ、ヨクモ・・・・全員ココデ沈メ!!』
憎悪に満ちた声がエコーとなって響き渡った直後、いつの間にか忍び寄っていた艦載機隊が一斉に爆弾の雨を降らしてきた。さっき撃破したのは正面に展開する敵空母から飛んできた艦載機隊であり、今殺到してきているこれらは別働部隊としてミッドウェー本島周辺を飛んでいた艦載機隊だったのである。
 つい目の前の中間棲姫に気を取られた結果であった。
「きゃあっ!!」
「うわっ!!」
「ぐうっ!!」
 次々と被弾する艦娘たちはそれでも懸命に応戦し始めた。
「くっ!!ううっ!!」
よろめいた紀伊はそれでも零式弾を装填し、上空に撃ち放した。とたんに左腕を灼熱が走り抜けた。主砲発射の衝撃波は思ったよりも腕に負担を与えるのだ。
「姉様!駄目です、無理なさっては!!」
讃岐がかけより、手早くメディカルヒーリングを施した包帯で左腕を巻いてくれた。
「あ、ありがとう・・・・。」
紀伊がようやく立ち直った時には、既に艦隊の列は乱れ、皆がバラバラに敵と交戦し始めていた。
 正面艦隊を突破したとはいえ、
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