第十章 仮想世界
第11話 『或守』
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あー……」
両手にスーパーの袋をぶら下げている上条は咄嗟に士道を追いかけることが出来なかった。このまま帰ろうとも思ったが、先ほどの女の子のことも気がかりだ。もしかするとこの仮想世界を抜け出せる重要な手がかりを持っているかもしれない。
いや、彼女自身がその鍵かも……
上条「……あーもうクソッ!!」
今日に限って自分が夕飯の当番のことを呪いながら上条も士道を追いかけていった。
両手が塞がれた状態で走るのは思っていた以上に苦労したのは別の話。
――――
―――
――
―
士道「……見失った。どこに行ったんだ?」
上条「はぁ……はぁ……くそッ、やっぱ買い物袋置いてこればよかった」
士道「上条も来たのか。ここって高台公園だろ。鞠亜のやつ、ここに何の用があるんだろ」
上条「……そもそもあいつは或守だったのか?」
士道「はぁ?何言ってんだお前?」
上条「だって髪の色も瞳の色も服も違ってたし」
士道「暗くて見間違えただけだろ。それに顔は鞠亜そのものだった。姉か妹ってことも考えられるけど、鞠亜には兄妹はいないって言ってたし、あいつは鞠亜に違いない」
上条「……今のお前、なんか変だぞ?」
士道「……どういう意味だ?」
上条「いや、上手く言葉に出来ないけど……」
上条の言っていることが士道には理解出来なかった。けど上条自身もよく分かっていないのなら今はあまり関係ないのだろう。
一番変なのはお前だよ、と心の中でツッコミを入れながら士道は空を見上げた。
士道「あ……」
思わず呟いた士道の声に反応し、上条も空を見上げる。
上条「あ……」
高く急な階段の一番上に、先ほどの女の子――人工精霊が笑みを浮かべながら座っていた。
士道「鞠亜……」
「あっ、やっと気づいてくれたね。五河士道。そして流石ね、上条当麻」
やはりというべきか、女の子は或守鞠亜の口調とは異なっていた。鞠亜は時々冗談を交えながらも常に敬語で大人しかった。だが目の前の女の子はどこかこちらを試すような口ぶりで、とても鞠亜が言った言葉とは思えない。
さすがに士道もそこには違和感を覚えたようだ。
士道「……?お前、鞠亜だよな?」
「キミがそう思うなら、そうだと思うよ?」
士道「……でも、お前は鞠亜じゃない」
「へぇ、それはどうして?」
士道「あいつは、人を試すようなことはしない」
「ふーん……キミも五河士道と同意見?」
上条「お前が或守鞠亜じゃないのは同意見だけど理由は少し違う。ってかそこにいたんだたら聞いてただろ?」
「まぁね♪」
今まで見た中で一番いい笑顔だったが、未だに何を企んでいる
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