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フロンティアを駆け抜けて
5VS6!ZワザVSメガシンカ(2)
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親は、少なくともルビーの苦悩を知っていたのだから。そしてチャンピオンとしての仕事を全うし続けたことは、ジェム自身がはっきり覚えているのだから。

「お前の父親はバトルを見に来た客みんなを笑顔にした。お前の母親に愛情を与え、お前の師匠の絶望を抑えた。……でもな、それですべてが解決したわけじゃねえんだよ。お前が両親に見てた進化の光なんて虚構なんだよ、全貌の闇の前にはな!」
「う……うう…………」

 ジェムは戦うとも降参するとも言えず、ただ泣きじゃくる。何か言いたいのに頭が真っ白になって、嗚咽が引きづって、何も言葉を発することが出来ない。今見た映像なんてあなたが作った嘘っぱちだって叫びたかった。でも、墓場まで追いかけられた時の声なんて比べ物にならないほど、一連の記憶には真実味があって、自分の知らない母親の感情が伝わってきて。あの胸の痛みが嘘だなんて言えなかった。

「……んで?てめえはやってきたと思ったら背後霊みたいに見てるだけかよ?」

 泣きじゃくるジェムの方を見たまま、シンボルハンターは舌打ちした。蹲って泣きじゃくるジェムの後ろには、いつの間にか一人の子供が立っていた。涙でほとんど機能しない目で後ろを見ると、そこにはぼんやりと白い塊があった。

「君は相変わらず言い方はあれだけど……いずれは知らなきゃいけないことだったからね。それは、僕が助けるべきことじゃない」
「チッ、相変わらず弟子にも残酷なのは変わらねえな」

 後ろの声の主は、ジェムの師匠であるジャックに他ならなかった。ジェムの両親を知っている彼でさえ、ジェムの感じたものを嘘だとは言わなかった。そのことがまたショックで、ジェムは声を上げて泣いた。どれくらいたてばこの気持ちが収まるのかもわからなかった。

「……そのままでいいから、落ち着いて聞いて」

 ジャックは昔のように、優しい声でジェムに語り掛ける。無理に泣き止ませようとはしない。ジェムも涙を流しながら、意識だけを向ける。

「彼の言う通り、今まで君はあの二人に夢を見ていた。僕は直接確認してはいないけど、君の見たものは事実で間違いないと思う」

 ジャックの言葉は、ジェムに受け入れてもらおうとしているのが感じ取れた。残酷で、厳しい優しさだった。

「君は自分の父親の力は無限で、全てを幸せに出来ると思っていたよね。でもそれは夢幻に過ぎない。20年頂点を守るリーグチャンピオンだって、人間である以上その力は幽玄で有限なんだ」

 そっと、ジャックはジェムの肩に手を置いた。ジェムの肩が怯えて跳ねる。

「君自身だってそうだよ。ジェムは自分の事を偉大なチャンピオンの娘だから、それに負けない凄いことが出来る、出来なきゃいけないって思ってた。だから必要以上に父親の事だけ見てた。でも、そんな風に気負わなく
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