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フロンティアを駆け抜けて
5VS6!ZワザVSメガシンカ(2)
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――なんでこんなことをするかだと?忘れたなら教えてやる。お前をおくりび山の後継者にしなければならないからだ。俺とて、わざわざこんなことはしたくない。

 それを聞いて、ジェムはこの男の人も本当は暴力なんて振るいたくないけど無理やりやらされているのかと思った。全身の痛みのせいでそれを口にすることは出来なかったが。だが、それは根本から誤っている。

――そうよ、本当なら誰があなたみたいな能無しをわざわざ育てようなんて思うもんですか。シリアがいてくれればあなたなんて跡継ぎさえ産んでくれればいいだけの道具だったのに……

 二人はジェムの事を娘だと言う。だがそこには温かさなど微塵もなかった。ただ、後継者にするために育てているだけ。本当はそのつもりさえなかったと本人の前で平然と口にしている。

「わ、私……あなたたちの娘じゃない。私のお父様とお母様は、こんなこと言わない……」

 震える声で否定する。こんな人たちが自分の両親だなんて、認められない。これではあまりにもひどすぎる。また蹴り飛ばされると思っても、口にせずにはいられなかった。それを聞いた二人は舌打ちして、男の方がまた無理やり腕を掴んでジェムの体を引きずった。ジェムの服が土で汚れていくことも、なんら気にしていない。ジェムの住んでいたはずの家の中に入り、部屋の一つへ連れていく。

――もういい。意識がはっきりするまでここにいろ。自分が俺たちにふざけた口を利いたことを理解するまで飯は抜きだ。

――明日もう一度この術を試すからね。今度失敗したら承知しないよ!

 そう言ってジェムを放り出し、耳をつんざくような音で襖を閉める。一人きりになったジェムは、しばらくあまりの理不尽に涙を零すことしか出来ない。

「なんで……?なんであんなひどいことが、自分の子供に出来るの……?」

 怖かった。あんな悪意と侮蔑を誰かに向けられるなんて初めてだった。ダイバでも、何か言えばとりあえず手は止めてくれた。譲歩してくれた。だがあの二人にはその素振りすらなかった。確かにジェムの事を娘だと認識していたのに。それが信じられなかった。

「ここ、本当におくりび山なのかな……それに、なんであの人たちは私のことを娘だと思ったんだろ」

 暫く恐怖感が収まるまで泣き続けた後、自分の状況を確かめるためジェムは部屋の中を見渡す。時計がないためどれくらい泣いていたかはわからない。部屋は数ヶ月は掃除をしていないように汚く、周りにはお菓子の袋が散乱していた。ぬいぐるみや遊び道具は全くなく、布団は敷きっぱなしで萎れている。家の外観は自分の知るものと同じだったし、この部屋もジェムの記憶では自分の部屋だし広さは同じだが、明らかに様相が違っている。

「やっぱり、私の知ってる場所じゃないのかな……?」

 だ
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