第二剣 白の侍の実力
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りの苦労人か。ギリギリと音がしそうな程歯を噛み締めたあと、憤懣やるかたないといった様子で口を開いた。
「ア......アスナ様、勝手な事をされては困ります......!」
ヒステリックな調子を帯びた甲高い声を聞いて、俺は、これは厄介な事になりそうだと呆れた。落ち窪んだ三白眼をぎらぎらと輝かせ、男は更に言い募る。
「さぁ、ギルド本部に戻りましょう」
「嫌よ、今日活動日じゃないわよ!......大体、アンタなんで朝から家の前に張り込んでるのよ!」
アスナがキレ気味といった様子で言い返した。
「ふふ…、どうせこんなことがあろうかと思いまして、私一ヶ月前からずっとセルムブルクで早朝より監視の任務についておりました」
得意気な男の返事に、まず俺は呆れた。キリト達は唖然とし、アスナも凍り付いていた。いくらか間を置いて、アスナは硬い声で聞き返した。
「そ......それ、団長の指示じゃないわよね......?」
「私の任務はアスナ様の護衛です!それは当然ご自宅の監視も......」
「ふ......含まれないわよバカ!!」
アスナは憤慨して言う。と、その時俺の脳裏に何かが過った。
それは、キリトと男のデュエルする光景だった。
(なんだ、これ)
「ライト君?」
ミザールの声でそれは無くなり、元の風景に戻っていた。
「悪い、何でもない......」
俺はミザールに言うと、この騒動を止めさせようと割って入る。
「そこまでだ、いくら護衛でもやり過ぎだ。アスナの安全は守るから引いてくれないか?」
俺が割って入ると、男は俺を睨み付けた。
「ふ......ふざけるな!!貴様らの様な雑魚プレイヤーがお二人の護衛が務まるかぁ!!わ......私は栄光ある血盟騎士団の......」
「少なくとも、貴方よりはマトモに務まると思うがね」
正直なところ、この一言は余計だった。
「ガキィ......そ、そこまででかい口を叩くからには、それを証明する覚悟があるんだろうな......」
顔面蒼白になった男は、震える右手でウインドウを呼び出すと素早く操作した。
即座に、俺の視界に半透明のシステムウインドウが出現する。内容は見る前から分かっていた。
【クラディール から1VS1デュエルを申し込まれました。受託しますか?】
発光する文字の下に、yes/NOのボタンと幾つかのオプション。俺はキリトとアスナの方を見る。二人は見えていないが、状況は察してくれているはずだ。当然、止めると思ったがアスナが小さく頷いた。
「......良いのか?問題案件だろどう考えても」
「大丈夫。団長にはわたしから報告する」
きっぱりと返答を頂き俺はyesボタンを押し、《初撃決着モード》を選択した。
これは最初に強攻撃をヒットさせるか、相手の体力を半減させた方が勝利するとい
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