小犬座の星霊
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った。
すたっと着地したその謎生物―――子犬座のニコラを、ルーシィは満面の笑みで、ナツとハッピーは凄く微妙そうな顔で見つめる。
「ど……どんまい!!」
「失敗じゃないわよー!!!」
拳を振り上げるルーシィの言う通り、どう見たって失敗だがこれは成功しているのだ。
どこからどう見てもニコラに犬要素はないが、彼(?)は立派な小犬座の星霊なのである。
「ああん、かわい〜♪」
「プ〜ン」
「そ……そうか?」
「ニコラの門はあまり魔力を使わないし、愛玩星霊として人気なのよ」
「ナツ〜、人間のエゴが見えるよ〜」
「ウム」
ニコラを抱きしめ頬擦りするルーシィの顔は緩み切っている。が、どうにもナツには彼女の言う可愛さが解らない。ハッピーにも解らない。
「じゃ……契約に移るわよ」
「ププーン」
ニコラを離し近くに置いてあったメモ帳を手に取る。表紙をめくってペンを片手に目を向けると、何故か小刻みに震えるニコラがさっと手を上げた。
「月曜は?」
「プゥ〜ゥ〜ン」
首を横に振る。
「火曜」
「プン」
今度は首を縦に振る。
「水曜」
「ププーン!!」
「木曜も呼んでいいのね♪」
「地味だな」
「あい」
もっと派手な何かがあると思っていたらしい二人が呟く。確かに呼べる曜日を確認してメモしていくだけの作業は地味ではあるが。
「はいっ!!!契約完了!!!」
「ププーン!!!」
と、そうこう言っているうちに契約作業は終わっていたらしい。メモ帳を閉じたルーシィの前でニコラがぴょんと跳ねる。
「随分簡単なんだね」
「確かに見た目はそうだけど、大事な事なのよ。星霊魔導士は契約…すなわち約束ごとを重要視するの。だからあたしは絶対約束だけは破らない…ってね」
「へェー」
―――まさかこの時の、人間として立派な言葉を利用されるとは。
この時のルーシィは、まだ知らなかったのである。
「…で?」
フードを被ったパーカー姿のニアが、ベッドに腰かけ首を傾げる。部屋にある椅子は全て客人である三人に貸してしまっている為、床以外で座れる場所はここだけだった。
あの後自分でもちょっと驚くくらいのスピードで着替えを済ませ、顔を洗って歯を磨き、起き抜けのベッドを軽く整え、ここまでに五分きっかり。で、大人しく待っていた三人を何とか招き入れた。少し寝癖が付いているのに気が付いたが、フードで隠れているので問題ないとする。
「それでね、ここまではよかったの。なのにこの後……!!」
「だから諦めろって。この仕事、ルーシィ抜きじゃ出来ねえしさ」
「う…」
こういう一言にルーシィが弱いのは知っている。今も言葉に詰まった彼女を見て頬を掻き、とりあえず
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