123部分:解かれた束縛と二人の賢者その四
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解かれた束縛と二人の賢者その四
「これだけではありません。コノート城の書庫にはアルヴィス皇帝がランゴバルト、レプトール両公と結託してアグストリア、ヴェルダン、シレジア等の諸国で反乱を起こさせそれに介入し諸国を滅ぼすと共にクルト王子を暗殺しその罪をバイロン公、シグルド公子に被せる計画を表わした文書があります」
それを聞いたレヴィンの眉がピクッと動いた。
「それを我々が手に入れ今卿が出した文書と共に公表すれば帝国の信用も権威も完全に崩壊し各地の反乱は抑えられなくなり帝国内の情勢は暴発寸前になるだろうな」
「はい。グランベル帝国は事実上瓦解します」
「だがそれを何故卿が持って来た?ヴェルトマーの宿将アイーダ、ラダメス両将軍の子であり宮廷司祭でもある卿が」
「・・・・・・・・・だからこそ見過ごせない事もあるのです」
サイアスはレヴィンの言葉に一瞬顔を暗くさせたが毅然として言った。
(セリス様、どう思われます?信用しますか)
オイフェがそっと耳打ちする。
(勿論さ。彼の目も気も嘘はついていないよ)
セリスはサイアスを見て言った。その瞳に自信を満たした強い光が宿っている。
「ところで何故明日雨が降ると解かるんだい?」
「あれを御覧下さい」
彼は天幕の外を指差した。燕が地表擦れ擦れを飛んでいる。
「燕が地を低く飛ぶのは餌となる虫が湿気で低い場所にいるからです。これこそ雨が間近い証拠、そうですねホークさん」
ホークに話を振った。彼はニヤッと笑った。
「その通り、お流石です」
ホークは言葉を続けた。
「先に申し上げた通りもうすぐレンスターは雨期に入ります。今の時期トラキア河の雨量は最も低くなります。そこを騎士団で渡るのです」
「そして騎士団の突入により混乱しているところを歩兵部隊が船で一斉に渡り勝負をつける、そうだね」
「はい。渡河地点はトラキア河が北と東に分かれる分岐点です。あの地点はトラキア河では最も浅い地点です。今夜遅くに渡りましょう」
「じゃあもう準備をしよう。歩兵部隊も敵主力に向かう部隊とコノート城に突入する部隊に分ける。おそらくフリージとの最後の戦いになるだろう、我等に神々の加護があらん事を!」
「はっ!」
諸将が一斉にシアルフィ式の敬礼をし天幕を出て行く。天幕を出ようとするホークをフィーが呼び止めた。
「貴女は・・・・・・」
「お久し振りね、ホークさん」
ホークを見上げながら悪戯っぽく笑った。
「ええ。まさか解放軍に入っておられるとは・・・・・・」
「兄さんはどう?まああの兄さんの事だから大丈夫だとは思うけど」
「勿論ですよ。しかしよくわかりましたね」
「そりゃあね。あれだけ強かったらね」
「成程、確かに」
「そうでしょ。今はフリージ軍と戦う事だけを考えなくちゃいけないけ
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