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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 40
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知っている」

 一瞬。
 青年の顔が盛大に引き攣った。

「………………代表的かつ、古典的な脅し文句だな。で? どんな秘密?」
「ご主人様に付けられた二つ名が、忠犬の皮を被った幼女偏愛症重篤患者。略して『むっつり変態』」
「ど・お・し・てっ! くだらない口喧嘩を一番に思い出すのかな君は?? てか、聴こえてたのか、あれ!」
「私の耳元で騒いでいたのに、聴こえてないと思うほうがおかしいです。で、アルフィンがハウィスを止めてる間に彼が来ちゃったら今度の二つ名はどんな物になるのでしょうね。ヒンニュウスキーとか、絶壁愛好家かな」
「事実無根にもほどがあるよ! 名誉毀損で訴え出ても良いかな、俺??」
「この体勢の目撃者が多数存在する件について」
「お仕事! これは、あくまでもお仕事だから??」
「変態の公私混同は至極さりげないモノらしいですネ。お医者さんごっこ、転じて本職の医師へ」
「どこで入手してきた、そんな低俗ネタ!」
「なお当然の成り行きですが、どさくさ紛れに乙女の初めてを奪われた件もしっかり思い出しています。そう、あれはピッシュさんの農園で仕事を頂く少し前でしたね。シャムロックを終えて村へ帰ったあの日、貴方達と一緒に剣術の訓練? をしていたハウィスが血を流して倒れ込んだ瞬間に遭遇し、驚きのあまり動けなくなった私を、大勢で取り囲んで……無理矢理……っ」
「人工呼吸や心臓マッサージなどは数に含めないでくださいっ! 緊急時の蘇生処置まで非難される()われはなーいっ!」
「可哀想なおにいさん。年齢差一回りは余裕な子供に、隙間なくぴったりと体を寄せ、鼻息荒く興奮してしまったばっかりに」
「興奮の意味が大分歪んでるしっ! 安全上の捕縛を、いかがわしい表現に置き換えないでくれ! わりと本気で、騎士団の品位と士気に関わるっ! 捕縛対象が毎回女性であるとは限らないんだぞ??」
「まあ! 騎士の方々はそういう……なるほど、誤解されたくない気持ちはよく解りました。衆道は理解を得られにくいと聴きますしね。大丈夫です。世界は広いし、理解者は必ずどこかに居ますよ。……多分?」
「今の流れでどうしてそうなる! 無駄に良い笑顔で火薬玉を投げつけるのやめてくれるかなあ?? 君に同性愛者だ! とか言われたら、ウチの連中が全員泣くぞ! むさくるしい男共が、狭い室内で肩を並べて鬱陶しいくらい本気で泣くんだからな??」
「おにいさんは?」
「は?」
「私に同性愛者だって思われたら、おにいさんは、泣く?」
「え、……あ?」

 ベルヘンス卿の左肘から手首にかけてを滑るように撫でて、袖口を握り、不安気な上目遣いで尋ねるミートリッテに

「ああ〜……もう、本当に……、どこで覚えてくるんだ? 色仕掛けとか、悪質すぎるだろ……」

 彼は、げんなり
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