暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 40
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
と一緒に、ご飯を食べたり、私の本当のお母さんの話をしてくれただけ!」
「ちょっと痛かった?? 血が流れ落ちるほどの怪我をさせられたのに??」
「私の血じゃないの! あれは」
「黙りなさい、アルフィン??」

 じたばた暴れるイオーネを背に、アルフィンは右手を精一杯高く掲げ。
 想像もしてなかった内容を答えた。

「あれは! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! イオーネさんが家に来た時、私が、私なんか誘拐しても役に立たないよって言ったから! じゃあ、私の価値を証明してあげるって……私が傷付けられたら、村の皆がどんな顔をするのか教えてあげるって言って、それであの時……だから!」
「アルフィン??」
「イオーネさんは悪くないの!」

(イオーネは、アルフィンを傷付けてない? あれは、イオーネの血?)

「何を……いつまでボサッとしてるの、ブルーローズ! 早くアルフィンを連れて行きなさい! 邪魔よ! そんなに仔猫を殺されたいの??」

 もがくイオーネ。動けないハウィス。
 動かない騎士達と、動かないエルーラン王子。
 イオーネを拘束したまま動かない……アーレスト。
 アルフィンが傷付けられたと憤ってたミートリッテに対し、不思議そうに小首を傾げた『聖職者』。

(あの人は、私の後ろに居た。夜目が利くあの人にはちゃんと見えた筈だ。イオーネの刃が誰を傷付けたのか。誰が、血を流していたのか)

「……おにいさん」

 ハウィス達を見ながら、怪盗の背中を抱えている騎士に話しかけると。
 彼は抵抗をやめたミートリッテに合わせて、少しだけ腕の力を弛めた。

「もうすぐ成人を迎える君にそう呼ばれるのは、なんとも複雑な気分だよ。離せとか言うのはナシだぞ」
「アルフィンの右手首。見えますか」
「……ああ。リアメルティ伯爵が盾になってて、少ししか見えないが」
「怪我してるように見えますか? 変に汚れてたり、何か巻き付いてたり」
「汚れとやらが流血跡を示してるなら、無いな。傷は暗くてよく見えない。服と靴以外は着用してないと思う」
「そう……、ですか……」

 切った直後に筋を成して滴り落ちる量の出血だ。
 放置した場合は、腕も服も酷く汚れ。
 治療した場合は、手首に何かが巻き付いている筈。
 どちらでもないとすれば、それは。

「おにいさん」

 右肘を曲げ、指先でベルヘンス卿の腕にそっと触れる。
 肩で振り向いて真顔を傾げる相手に、騎士は疑わし気な半眼を返した。

「嫌な予感しかしないんだが、一応尋いておこう。なんだ?」

「貴方の秘密を
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ