121部分:解かれた束縛と二人の賢者その二
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解かれた束縛と二人の賢者その二
『親愛なる我が妹ラケシスへ
私は陛下へ最後の諫言に行く。この手紙が御前の手に届く時私はおそらくこの世にはいないだろう。
だが悲しまないでほしい。私は私の信じる道の為に行くのだから。
私が死んだならシグルドを頼るがいい。あの男なら御前を見捨てはしない。御前を護り続けてくれる筈だ。
そして一つだけ頼みたい事がある。幼い我が子アレスの事だ。
アレスはおそらく私の顔も知らないだろう。だが私はアレスを他の誰よりも愛している。我が妻もおそらく長くはるまい。
幼くして両親を亡くしたなら頼れる肉親は御前だけだ。こんな事を頼むのは図々しいのは承知している。だがアレスを頼む。
最後に。さようなら。元気でいてくれ
兄より』
手紙を読み終えた時アレスの瞳から涙が止めどなく流れていた。涙を拭き終えるとリーンを共に手紙を持って天幕を出た。そして本陣の天幕の前でオイフェやシャナン達と共に地図を見ながら話していたセリスの前に行くと無言でその手紙を差し出した。セリスはそれを受け取ると静かに読みはじめた。
アレスは手紙を読み終えたセリスに対し無言で、しかし力強く手を差し出した。セリスはそれに対し自身の右手を差し出した。両者は強く握り合った。
アレスが長年自らを縛っていた鎖から解き放たれた次の日フェミナとアミッドは陣の外の巡視に出ていた。
「アミッドも妹さんが入って良かったじゃない」
フェミナが天馬から降り馬首を引きながらアミッドに言った。
「ん〜〜、まさかオルエンやアマルダ達まで一緒に来るとは思わなかったけどな」
「けれど戦力は凄くアップしたじゃない。皆いい人達だし」
「まあな。うちもそれで一段と賑やかになったしな。ところで御前のお兄さんはどうなったんだ?」
「知らない」
フェミナはアミッドの問い掛けにあっさりと返した。
「知らないっていくら何でもそりゃあ冷た過ぎないか」
「う〜〜ん、一応マンスターにいるみたいだけどね。ホーク兄さんって気紛れなところあるからフラッと他の所へ行ったかも。まあ生きてるみたいだけどね」
「いきなりここに現われたりしてな」
「まさか」
二人はそう言って笑った。マンスター側の場所でマントを羽織った若者が解放軍の兵士達と何やら話しているのが見えた。
「何だ?」
「行ってみましょう」
二人は兵士達の方へ向かった。シャナムがいた。
「どうしたの?」
「ああ、何やらマンスターのマギ団から来たらしい。セリス公子に会わせて欲しいと言っている」
「マギ団から?誰だ?」
「うむ、ホークというらしい。職業は自分で言うにはセイジ・
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