第三十六話 原因はこの際問題ではありません。要はどうやってケリをつけるかです。
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はありません。」
扶桑の言葉に全艦娘が力強くうなずいた。
「第一機動艦隊を沈め、私たちの道を切り開きます。重巡、水雷戦隊は、単縦陣形で二手に分かれて突撃!!左翼の指揮は、麻耶さん!右翼は阿賀野さん!お願いします!」
扶桑の号令一下、水雷戦隊、そして麻耶、鳥海の重巡戦隊が行動を開始した。足の速い重巡戦隊以下を接触させ、敵の足を弱らせたのちに、扶桑、山城の主砲でとどめを刺すというのが今回の作戦である。その間大鳳、そして基地航空隊は残存する深海棲艦側からの艦載機隊の攻撃を防ぎ、かつ余力を敵の戦艦に集中する方針を立てていた。
「いっくぜ〜〜!!重巡戦隊の力、見せてやる!!」
麻耶が叫び、鳥海を伴って、全速航行を開始。深海棲艦艦隊を右に見続けながら砲撃を開始した。その後ろには高波、朝霜が続く。敵艦隊の右からは阿賀野、酒匂、朝雲、山雲が進出し、これも同行戦を展開しようと速力を上げていた。つまり左右からの挟撃体制が構築されつつある。
「はい!右舷、砲雷撃戦用意!!」
鳥海、麻耶の部隊が敵艦隊の左翼から、阿賀野、酒匂の部隊が敵の右翼からの砲雷撃戦を敢行し、そして正面からは扶桑、山城、大鳳が挑みかかる。扶桑、山城の的確かつ容赦のない主砲弾が敵戦艦を2隻を撃沈し、輪形陣の中心にいた空母一隻に命中して轟沈させた。
「姉様、やっと、やっと・・・・!!」
山城が思わず声を震わせる。前世と言い、そして佐世保鎮守府近海の戦闘等においても、これほどまでに戦艦の火力を運用できた戦いを二人は経験しなかった。できなかった。
「ええ、扶桑型の火力、やっとここで示すことができた。それだけでも来たかいがあったわ。」
扶桑がしみじみとした声で応じる。二人にとって前世も、そして現世も苦難の連続だったが、訓練は欠かしたことはない。それら苦しみ、そして鍛錬の成果がまさにこの戦いという一点において華々しく昇華したと言ってもいいだろう。
鳥海や阿賀野たちも高揚した表情だった。沈みゆく黄昏の光がそうさせたのかもしれないが、皆華々しく戦っている。誰もが自分の役割を誇りに思っているのだ。
「さぁ、山城。最後まで気を引き締めて、残る深海棲艦を沈めるわよ。」
「はい!!」
扶桑型戦艦姉妹は、敵の砲撃をものともせず、鮮やかに同航戦闘に持ち込み、徹底的に砲撃を相手に叩き込んだ。
抵抗空しく、空母三隻及び敵の全艦隊が海に沈むまで、30分を要しなかった。強敵と言われ、ヤマトを苦しめた第一機動艦隊のあっけないほどの最後だった。
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