第三十六話 原因はこの際問題ではありません。要はどうやってケリをつけるかです。
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落ちて水柱を登らせた。
「よし――。」
その直後、ものすごい砲撃が来た。大和以下滅多打ちにあったように火と煙の真っただ中に放り込まれ、グルグルとかき回されたような惨状に陥った。
「大丈夫ですか!?」
「まだ、やれるぞ!!たいしたことはない。」
長門が気丈にそう言った。どの艦娘も大なり小なり被弾しているが、艤装を完全にやられた者はいない。
「今の試射から、諸元を伝達します。目標、距離1万5000!!方位270度仰角修正+2!!」
各艦隊は速やかに砲の修正を行った。
「準備いいぞ!!」
武蔵の声に、大和はすうっと息を吸い込み、きっと艦隊をにらんだ。
「敵艦捕捉・・・・。」
「まずい!!」
紀伊が叫び、全艦隊に全速航行で離脱するように指令した。だが――。
「全主砲、薙ぎ払え!!!」
海上を圧する指令が響き渡ったかと思うと、海を震わせるものすごい砲声と火煙が立ち上った。
「急速回避!!!!」
紀伊が叫んだ直後、紀伊艦隊はまるで業火の坩堝に叩き込まれたかのような凄まじい直撃弾を食らっていた。
御休息処、間宮――。
演習や出撃等が終わると、多くの艦娘たちでにぎわう横須賀鎮守府随一の憩いの場である。中に入ると、いくつものテーブル席、そして奥の畳敷きの座敷席という作りとしてはどこにでもある甘味処という感じがするが、そこで出されるスイーツや食事はわざわざ地方の各鎮守府や軍関係施設から見学や試食にやってくるほど段違いに素晴らしい味だった。
今日も多くの艦娘たちでにぎわっていたが、その中の奥、畳敷きの一つに、演習終了後久しぶり、いや、初めて紀伊型空母戦艦4人が間宮にお茶を飲みに来ているのが見えた。その光景に(正確には尾張がその中に加わっていることだ。)周りの艦娘の中には目を丸くする者もいたが、大方は気に留めていなかった。尾張は変わった。事に挺身隊を指揮して見事レーダー搭載深海棲艦を撃破したその功績、そしてそれに一切奢らなかった態度に、始めはずっと冷たかった周囲も今は少しずつ彼女のことを見直し始めていたからだ。尾張自身も、もう誰彼かまわず相手を突き刺すような言動をすることをほぼやめてしまっていた。時折出るとしても今までのような見境なしの言動ではなく、彼女なりの考えられた末の言葉だった。
「流石は赤城さんや長門さんの部隊ね。私たちでは歯が立たなかったわ。」
紀伊が感慨深そうに感想を漏らした。
「でも、私たちも善戦したわよね。今日の演習では紀伊型空母戦艦の艦載機運用能力を発揮できたわ。けれど、まだまだ敵に迎撃される余地はあったことも事実ね。もっと厳しい角度から攻めなくては。」
「はい。それに砲撃戦闘では主力戦艦に後れを取りました。私たちの武器は金剛さんたちと同じ高速です。それを活かして相手に諸元をわからせる機会を与えず、敵を翻弄し
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