第三十六話 原因はこの際問題ではありません。要はどうやってケリをつけるかです。
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形で正規空母正面に展開。こちらはまずは左から右に進路を取り、左舷砲戦で応対します!!各艦隊、私に続いて!!」
紀伊が叫んだ。戦艦部隊、紀伊型、そして重巡戦隊を指揮する愛宕、高雄以下の艦娘たちが一斉に応える。
「ふうん・・・。単縦陣形での航行砲撃戦闘か。やるじゃない。」
陸奥が楽しそうにつぶやく。こちらは空母を守るように展開しているが、向こうは動き続けている。そのためこちら側の砲の照準は合わせにくいが、向こうからすれば止まっている標的を撃つのと変わりない。主力戦艦部隊に対して真正面から砲撃戦を挑めば勝敗は明らかだ。やや劣勢な高速戦艦ばかりの紀伊側として取るべき理想的な戦術と言っていいだろう。
「どうする?こちらも単縦陣形に切り替えて、奴らに同航戦を挑もうか?」
と、武蔵。
「いいえ。私たちが動けば、向こうはその間隙をついて私たちの右翼から突入部隊を投入してくるわ。そうなったら空母を守り切れない。」
「なら、我々はこのまま動かず、砲撃に徹して空母を守り抜く作戦と行くか。」
長門が腕組みをしながら言う。
「よし、決まりだな。大和、お前が全艦隊の砲撃戦闘の指揮をとれ。大和型の火力、思う存分に相手に知らしめてやろう。」
「えっ!?ここにきて、ですか?そんなこと今更・・・・。」
「何が『今更。』だ。」
武蔵が口をはさんだ。
「お前は私と違って、日頃前面に出ようとしないな。こういう時くらい大和型の底力をしめしてくれ。」
「武蔵、それは――。」
「違う、違うぞ。」
武蔵は大和の言わんとするところを察したのか、急いでおっかぶせるように、
「私もさんざん言われてようやくわかったさ。大和型超弩級戦艦など万能でも何でもないと。だが、大和型の特性そのものまで否定する気にはならんな。それは私たちの持つべき最後の矜持だ。それまで手放してしまったら、私たちは本当に『ホテル大和。』『武蔵御殿』などと一生言われるんだぞ。それでもいいのか?」
「わかったわ。大和型の矜持、私だって捨てたくはないもの。ずっと持っていたい。」
大和は前面に数歩進み出ると、全艦隊の前に佇んだ。
「全艦隊、主砲、構え!!」
凛としたその声は目の前をかすめていく紀伊たちにも届いた。
「紀伊姉様!」
近江の注意喚起に紀伊は素早く反応した。
「向こうも砲撃準備に着手したわ。こっちは・・・・よし、有効射程距離に入ったわね。先手必勝よ!全艦隊砲撃開始!!」
紀伊が左手を振りぬいた。
「テ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」
各艦娘の主砲が火を噴き上げ、おびただしい砲弾が送り込まれた。
「砲撃、来るわ。」
大和が注意を促すが、まだ発砲の指令を出さない。
「大和!」
「まだよ。私が一門だけ、試射するわ。」
大和がそう言いざま、副砲一門だけ試射を行った。それは最前列の紀伊のほぼ正面に
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