第三十六話 原因はこの際問題ではありません。要はどうやってケリをつけるかです。
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されたつぶやきにも似た指令が艦載機隊を降下させる。70度近い急降下に、秋月たちの対空射撃もあまり功を成さない。
「長月さん!黒潮さん!あなた方が目標から最も遠いです!仰角を合わせやすい!!なんとか踏ん張って敵機を撃墜してください!!」
『おう!!』
『あたって〜な!』
二人がそれぞれの位置から高角砲、機銃による猛烈な対空射撃を始めるが、彗星部隊は屈しない。
「加賀さん!!」
飛沫の飛びしきる中を赤城が叫んだ。
「了解。赤城さん、あの程度の艦爆隊、動じるまでもないわ。」
「蒼龍!回避するよ!」
「OK!任せといて!」
4人はそれぞれフィギュアスケートをするかのように悠然と、しかし驚くべき速さと敏捷さをもって動き始めた。次々と彗星部隊が投下する模擬50番を4人は華麗にかわしていく。
「流石!!」
紀伊が思わず叫んでいた。その隣ですっかり苦り切った顔の尾張が、
「なんて呑気なの?敵をほめる暇があったら、弾の一発くらい命中させてみなさいよ。」
「あ、ごめん・・・・。」
尾張は短い吐息を吐き捨てると、
「いい。私が指揮する。見てなさい。」
尾張は前面に進出して左手を振りぬいた。
「全機、高度500まで急降下!!鼻っ先があいつらの顔に当たるまで近づいて攻撃よ!!」
尾張が叫んだ。対する赤城が、
「来ました!敵機近接投下に切り替えてきました!川内さん!深雪さん!!」
「よし!!任せておいて!深雪ッ!」
「おうよ!」
川内と深雪はバックステップを踏むように後ろ向きに下がると、そのまま滑るようにして赤城たちの後方にぴたりとつき、その背面姿勢のまま次々とやってくる敵機を撃ち落とし始めた。
「やるぅ!」
「流石ですわ!」
讃岐も近江も感嘆さを隠し切れない。
「ああもう!!どうして紀伊型空母戦艦はこうあまっちょろいのばっかりなんだか!?今は演習よ!!」
尾張が怒りを隠し切れない様子で叫ぶ。
「わかってる。尾張、こうなったら前面に進出して砲撃戦!」
紀伊の提案に珍しく尾張が賛同した。
「いいわ。艦載機による遠距離攻撃と近接戦闘の砲撃戦、その両方ができるのが私たち紀伊型なのだから。」
「比叡さん、榛名さん、お願いします!!」
それまで後方に控えていた戦艦艦娘が一斉にうなずき、前面に進出する。紀伊も尾張も、そして近江も讃岐もそれに続いた。
複縦陣による正規空母4人斜め正面をかすめるようにして左から右に抜ける間に、全力を挙げて砲撃を行う作戦だ。
ところが、それを阻むように正規空母4人の前面に押し出してきた部隊がいる。
「Hey!!キー!!艦隊砲撃戦なら、私たちが相手ネ!!」
金剛を先頭に、霧島、大和、武蔵、陸奥、長門といった戦艦部隊が押し出してきた。こちらは6人、相手も6人、戦艦対戦艦の砲撃戦である。
「敵は凹陣
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