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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十六話 原因はこの際問題ではありません。要はどうやってケリをつけるかです。
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かは、もうどうでもいいと思うほど、深海棲艦側からの攻撃によって数限りない船舶が撃沈され、あるいは先の横須賀鎮守府への空爆の様に、陸上都市への空爆などにより、何千、何万人もの死者を出しているのだ。


どちらかが相手を撃滅しない限り、この戦いに終止符を打つことはできないだろう。原因はこの際問題ではなく、どうすればこの際限ない戦いに終止符を打つかを考えなくてはならない。


「もう、どちらも歩み寄ろうとする時期は過ぎた・・・・。」
ギリッと葵の奥歯が音を立てた。それによって、知った事実もろとも、わき上がってきた深海棲艦への憐憫の情をすりつぶそうというかのように。
 葵は、書類を片付けると、さっと机の上の埃をはらい、隠し金庫に厳重に収めると、蓋をして、鍵をかけた。

 重々しい音がした。


 同時刻、横須賀鎮守府埠頭沖――。
 ミッドウェー本島攻略作戦部隊は、最後の大演習を行っていた。実弾こそ用いなかったが、それでも実戦さながらのギンと張り詰めた大気の中を、攻・守それぞれの部隊が死力を尽くして戦っている。
「やらせません!赤城さん、加賀さん、飛龍さん、蒼龍さんを守るように輪形陣を展開!!弾幕射撃!!絶対に艦載機を寄せ付けないで!!」
秋月に深雪、長月、黒潮、陽炎の4人を加えた護衛駆逐艦5人、そしてそれを統括する川内は通常よりもはるかに高密度の弾幕形成を行うことに成功していた。これを突破すべく紀伊型空母戦艦の4人の艦載機が全力を挙げてこれを急襲しにかかってきていた。
「いくら模擬演習とはいっても・・・・。」
紀伊が艦載機隊を指揮しながら近江を見た。
「流石は第一航空戦隊、第二航空戦隊の4人ね。相手の艦載機隊と防空射撃には隙がないわ。」
「はい。さすがは第一航空艦隊の中核を担う諸先輩方、侮れません。これに翔鶴さんや瑞鶴さんが加われば、本当に無敵ですわね。」
近江が感嘆さを禁じ得ない表情でうなずく。
「フン。」
その横で尾張が鼻を鳴らした。
「いくら精鋭だと言っても護衛駆逐艦と艦載機に防御を任せているようではだめよ。せめて自分たちも機銃で防いでみろっていうのよ。」
「それは無茶じゃないの〜。弓を持ちながら機銃構えるのって相当つらいよ?私たちじゃないんだから。」
と、舞風が横から口を出す。彼女は攻撃側の紀伊たちの護衛駆逐艦を務めていた。
「無茶とかなんとか言っている間に、一発飛行甲板に命中して大爆発よ。見てなさい。」
尾張が旗を掲げるように、まっすぐ上に左腕を上げた。とたんに彼女の艦載機隊の彗星艦爆隊が急上昇を開始する。それを追って赤城、加賀の零戦部隊も迎撃上昇するが、零戦以上のエンジンを搭載している彗星にはかなわない。


「敵機直上・・・急降下。」


尾張の左腕が風を切って降ろされた。不気味に抑圧
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