第三十四話 マリアナ諸島
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撃の一瞬の隙を捕えられたのだ。誘導弾のように飛んできた爆弾が照月の至近距離で大爆発し、彼女の誇る高射装置と長10センチ砲が大ダメージを受けて大破していた。
「怪我は?!」
「は、はいっ!体は大丈夫です。でも・・・長10センチ砲ちゃんが・・・・。」
照月がうなだれる。
「ここはいいですから、あなたはすぐにドッグに行って修理してください。」
「そんな!まだやれます!!」
「いいえ、ドッグに行ってください。そこで緊急修理を!!その後速やかに戦列復帰してください。でないと防空戦闘が継続できない!!」
「わ、わかりました・・・!!鳳翔さん、無事で!!」
照月は大きくうなずくと、すぐにターンしてドッグに急行していった。鳳翔はそれを見送る余裕もなかった。不意に殺気を感じて振り返る。果たしてすぐそばに敵機が迫ってきていた。
「しまった・・・!!」
回避しようとするが、間に合わない。
「くっ・・・!!」
至近距離で敵機が爆発した。とっさに腕でかばった鳳翔が爆風を受けて大きく後退する。九六艦戦が体当たり覚悟で阻止しなかったら、鳳翔は轟沈していただろう。
「・・・・・・っ!!」
湧き上がってきた恐怖と忌まわしい記憶を振るい落とすように頭を振ると、鳳翔は今の状況を再確認した。
現在敵機は南西、南東、南南東の3方向から接近してきている。西側は長良、由良と第六駆逐隊が、東側には天津風と雪風が、南側には鳳翔、そして照月が、そしてその西には熊野、鈴谷たちが布陣している。日向、ローマ、リットリオ、プリンツ・オイゲンの4人は艦隊を組んで南方に進出し、遠距離での三式弾をもって敵機を正面から食い止めている。
だが、今しがた照月は敵機の爆撃を食らって、艤装が駄目になってしまった。防空駆逐艦がやられてしまった今、防空網に大きな穴が開きつつある。
「艦隊を編成して敵を追い返したいところだけれど・・・・でも、それではまったく意味をなさないわ。それにしてもこの執拗な襲撃・・・・。まるで私たちを泊地もろとも葬り去ろうというような・・・。」
突っ込んできた敵機を鮮やかにかわし、九六艦戦に撃破させながら鳳翔は思う。
「マリアナ諸島自体を囮にして私たちをおびき寄せたとでもいうの?」
先日の攻略作戦のことを考えた鳳翔の気持ちは暗くなる。
「でも・・・!!だからと言ってここで負けるわけにはいきません!!」
綾波のためにも、と自分の胸に言い聞かせながら鳳翔は敵機をにらみ据えたその時だ。
「・・・・・・あれは!?」
ゴマ粒の様な深海棲艦艦載機の後ろから、大きなシミが3つほどこちらに飛来してくるのが見えた。
「うそ・・・・。あの距離であの大きさって・・・・どういうこと!?」
鈴谷が呆然とつぶやく。巨大な三角形を思わせるその体が悠然とこちらに迫ってきた。体の前面
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