第三十四話 マリアナ諸島
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いたように現れた深海棲艦たちの追撃を振り切り、ようやく泊地の正面海域にたどり着き、鈴谷が安堵の声を上げた時、突然雪風が悲鳴のような叫び声を上げた。
「あそこ!!」
指さす先に、ゴマ粒の様な黒い点々が泊地のある島上空を疾風のように動き回り、何かもっと小さいものを落としていくのが見えた。
重い爆撃音が続けざまに起こり、泊地に黒煙が上がり始めた。
「長10センチ砲ちゃん!!出番だよ!!」
照月が叫び、砲を構え飛び出していく。それに気が付いた深海棲艦艦載機が向かってくるが、たちまち開始された弾幕斉射は敵機を寄せ付けなかった。照月は泊地ギリギリまで接近して可能な限り上空の敵機を攻撃し続ける。
「流石は防空駆逐艦だね〜・・・。」
鈴谷は感嘆の声を上げたが、感心してもいられないというように頭を振った。
「とにかくあたしたちも対空射撃やろうよ。照月にはとてもかなわないけれどさ。」
「ええ、やれることをやりましょう。」
熊野もうなずく。
「先輩方。」
天津風が声を上げた。
「私たちは二人で東側を固めます。照月が正面で頑張ってますから、そっちは大丈夫だと思います。別れた方がいいわ。」
「よし、雪風と天津風、頼んだよ。」
「はい!絶対、大丈夫!」
「あたしと熊野は西側を守る。何かあったらすぐに駆けつけるから、我慢しないで呼ぶんだよ。」
「はい!」
天津風は点頭し、雪風と共に東側に向かった。
「鈴谷!!」
見守る間もなかった。二人は殺到してきた深海棲艦艦載機隊の攻撃をとっさに交わした。
「対空砲撃!!」
二人は並んで砲を構える。
「仰角最大!!全対空機銃は全方向に向けて弾幕形成ですわ!!!」
「よし、いっくよ〜〜〜!!!」
最上型重巡、そして航空巡洋艦である二人は連携を保ちつつ次々と敵機を攻撃、これを落とし始めた。
島の西側では第六駆逐隊が長良、由良、とともに敵機を防いでいた。
「うう〜〜〜!!さっすがにきついわね〜〜!!!これで一体何波来たの?」
暁が煤まみれの顔を袖口で拭った。発射火薬と爆炎が絶えず降り注ぐので、全員が煤まみれのような格好になってしまっている。
「あ、暁ちゃん!!」
「な、なによ?」
「鼻の下!おひげが生えたみたいなのです!!」
「あ、本当だ〜〜!!」
と、雷。
「な、ちょっと!?何言ってんのよ!!レディーに向かって失礼でしょ?!」
「喧嘩してる場合じゃないよ!ホラ、また敵機が来る!」
長良が注意を向けた。
* * * * *
大音響と共に爆炎が海上に立ち上った。
「きゃあ!?もう、なによぉ〜〜!!」
照月が悲鳴を上げて濛々とする黒煙から飛び出してきた。
「大丈夫ですか!?」
鳳翔が駆け寄る。
「うう・・・だいぶやられちゃった・・・ごめんなさい。」
照月の防空射
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