第三十四話 マリアナ諸島
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に開き始めたところだった。
「私たちの力、ヤマトの艦娘たちに見せてやりましょう。」
「そんなに力まなくてもいいと思うけれど・・・・。」
リットリオは当惑気味だ。
「いいえ、そんなことはないです。公国の威信だとかそういうのではないんです。私たちの・・・私の前世のこと、お忘れですか!?」
リットリオは「?」の表情をした。
「ヴェネト姉様やリットリオ姉様は・・・それに比べて私は・・・・航空機に・・・・。」
「あ。」
思い出した。妹は地中海で独国爆撃機隊の餌食になり座乗していた提督や艦長を乗せたまま轟沈同様の派手な沈み方をしていったのだ。航空機に対して彼女がトラウマを持ち続けていたとしても不思議ではない。
「だからここで戦って勝って、私はトラウマを乗り越えるんです。」
リットリオはうなずいていた。トラウマをなくすとなれば姉としてできることをやってあげたい。
重い震動と共に扉が動きを止めた。
「わかったわ。行くわよ、ローマ。」
「はい!」
二人は白波を蹴立てて、南太平洋の海に飛び出していった。
* * * * *
「来た!!」
鳳翔がきっと空をにらんだ。紺碧の洋上に無数の黒いしみが広がり、それが一気に速力を増して目の前に殺到してきた。
「艦載機隊、横一列で展開し、迎撃!!」
鳳翔は指示を出し、次いで基地航空隊の雷電部隊に第二陣として九六艦戦の後ろに控え、敵を迎撃するように指示した。
「撃て!!」
軽快な音とともに九六艦戦の機銃が火を噴く。7,7ミリを多少アレンジし、12ミリに強化したせいか、次々と敵の深海棲艦艦載機は散っていく。だが、敵の数は多く、殺到してきた深海棲艦艦載機の中には九六艦戦の敷いた防御陣形をすり抜けるものが現れてきた。
「雷電隊!!」
鳳翔が叫ぶ。鳳翔は九六艦戦のほかに、新鋭機として雷電を扱うようになっていた。速力、旋回性能、火力等、九六艦戦の比ではない新鋭機を鳳翔とその妖精たちは短期間で使いこなせるようになっていた。だが、それでも愛機である九六艦戦を手放すのが惜しいという妖精たちは、未だにその機体を使っていたのである。それを鳳翔が説得して、近々全妖精が雷電に機種転換することとなっていた。
その矢先のこの襲来だった。
第二陣として控えていた雷電隊は突破した深海棲艦艦載機めがけて上下から突っ込んだ。たちまち大乱戦が展開される。必死の雷電隊の働きで泊地上空に敵機は到達していない。いないが、突破されるのは時間の問題だろうと思っていた。敵はこの方向からやってくるのではない。時間差をつけて、異なる方向から迫ってきているのだ。
「早く・・・・皆、戻ってきて・・・・!!」
鳳翔はそれを念じながら必死に防空戦闘指揮を執った。
1時間後――。
「ようやく戻ってこれた!!」
降ってわ
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