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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十四話 マリアナ諸島
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うしたの?」
しきりに吹き流しに手を当てていた天津風が顔色を変えた。
「電探に反応有!」
「反応!?」
鈴谷も慌てて自分の艤装をチェックする。
「ま、マジ・・・!?」
「どうしましたの?」
「これ、まずいよ・・!!」
鈴谷が無線を取り出した。
「どこから出てきたか知らないけれど、深海棲艦の艦載機が泊地に急速に向かってる!!」
一同の顔色が変わった。続いて電探をチェックしていた熊野も
「南東からですわ。敵の編隊は少なくとも三波。まずいですわね。泊地からはそう遠くはありませんわ。」
「わ、私すぐに戻ります!あぁもう!!どうしてこんな時に!!」
照月が悔しそうに叫んだ。
「私も行きます。」
「私も!」
「私もよ!」
「待ちなよ。そんなに慌てなくてもみんなで戻ればいいじゃん。」
鈴谷がたしなめた。なおも口を開こうとする駆逐艦娘たちに向かって鈴谷は言葉をつづけた。
「まぁ、確かにあんたたちの方が速力は早いけれどさ、まずは落ち着いていこうよ。途中で待ち伏せにでもあったらどうしようもないっしょ?」
「・・・・・・・。」
「隊列を整えて、全速航行で泊地に戻る。戻りながら熊野は緊急無電を泊地に送って。他のみんなは深海棲艦に警戒しながら行くよ。」
あら、と熊野は意外な面持ちだった。鈴谷は飄々としたちょっと面倒くさがりな性格の持ち主でこういう場合にはあまり自分から指揮を買って出ないのに。
「熊野〜。どうしたの?行くよ!」
「あ、はい!まいりますわ!」
鈴谷たちを追って走り出しながら熊野は自分の相方を頼もしく思っていた。



* * * * *
泊地全体に警報が鳴り響き、滑走路から次々と基地航空隊が飛び立っていく。鳳翔はその空のもと、全速力で発着所に取って返し、あわただしく出撃していった。
「風向き、よし!航空部隊、発艦!!!」
艦載機隊を空に放ちながら鳳翔はぐるっと空を見まわした。電探妖精たちがキャッチしたところでは敵は南東、次いで南西、そして南南東から接近してくるらしい。ということは北太平洋に展開する深海棲艦たちではなく、また別の深海棲艦たちが攻撃を仕掛けてきたということになるのだろうか。
「それにしても・・・・。」
鳳翔は唇をかんだ。また間の悪いときにやってきてくれたものだ。今瑞鶴、翔鶴、ビスマルク、筑摩、利根、足柄、妙高は改装を受けるべく工廠に入ってしまい出撃もできない。迎撃部隊として日向、プリンツ・オイゲン、リットリオ、ローマ、由良、長良、それに第六駆逐隊の面々が飛び出していったが、それでも数が足りない。せめて哨戒艦隊が戻ってきてくれたら――。
 鳳翔はそれを祈るばかりだった。


「さぁ、リットリオ姉様!」
巨大な発着施設中でローマが姉を見た。既に足元には海水がみち、巨大な扉が音を立てて上下
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