第三十四話 マリアナ諸島
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いた眼をしていたが、やがて嬉しそうにうなずいて出ていった。まぁ、どんな艦娘でも改装は憧れの的だからな。
ともかく、皆には『慢心、駄目!絶対!』を徹底させないとな。赤城が聞いたら怒るだろうが。
* * * * *
提督の執務室を出てきた鳳翔が廊下を歩いていくと、曲がり角から第五航空戦隊の二人に出会った。
「翔鶴さん、瑞鶴さん、今お暇ですか?」
「え?ランチのお誘いですか?」
「翔鶴姉、まだ11時よ。お昼には時間があるわ。」
「あ、やだ・・・・ごめんなさい。」
ぽっと赤くなった翔鶴に、いえ、いいんですと鳳翔はにこやかにいい、次いで二人に工廠に出向くように伝えた。
「工廠ですか?でも、艦載機の整備は終わっていますし・・・・。」
「今度はあなたたち自身の整備ですよ。」
鳳翔の顔を見ていた瑞鶴があっと声を上げた。
「もしかして・・・・改装!?」
「はい。お二人には呉鎮守府の艦娘改装計画の第一陣としてすぐに工廠に向かってもらいます。」
「でも、いいのかしら瑞鶴。私たちが最初だなんて・・・・。」
「大丈夫ですよ。」
鳳翔が言った。
「あなた方だけではありません。呉鎮守府の全艦娘が逐次改装指示を受けることになりますから。」
翔鶴はほっと胸をなでおろした。
「やったぁ!!これで一航戦に引けを取らない姿になれるわね!!」
「瑞鶴、慢心は駄目よ。いくら改装しても鍛錬を怠らなくては一航戦の先輩方には追いつけないし、それにもともと鳳翔さん、そして赤城さんや加賀さんは精鋭中の精鋭です。私たちはまだまだ先輩方の良いところを学んで活かす段階にとどまっているのだから。」
「はい。」
瑞鶴は赤城や加賀たちの横須賀での戦いぶりをつてを頼りにつぶさに聞くようにしていた。彼女たちの奮闘については嫉妬を覚えることが多かったが、それでもまだまだ自分はかなわないのだと心の底で思うことはあった。だからこそ、改装を受け、伸びしろを作ることでより一層の練度を積んでいきたい。そう思っていた。
翔鶴は鳳翔に向き直った。
「すぐに工廠に向かいます。どのくらい時間はかかるのでしょうか?」
「どうでしょうか?今回が初めての試みですから、工廠の妖精さんたち次第ではないかと思います。私もこれから対象となる方たちに声をかけますから、これで。」
一礼して去っていく鳳翔の背中を二人は見送っていた。鳳翔の姿を見ると二人は期せずしてあのこと――背水の陣で輸送物資を護衛して横須賀に向かった時の事――を思いだしてしまう。
「鳳翔さん・・・強いね。翔鶴姉。」
瑞鶴がしみじみと言った。
「私なんか翔鶴姉が死んでしまうって思っただけで取り乱してしまったのに・・・・鳳翔さんは全然そんなそぶりを見せないね。」
「そうね・・・・。」
綾波のことは二人も一度だって忘れたことはない。他
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