第三十四話 マリアナ諸島
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んね。あなたの傷をえぐるようなこと言っちゃって、本当にごめん。」
「・・・・あなたにもトラウマあるでしょ。私だって忘れられないトラウマの一つや二つはあるわ。いつか克服しなくちゃとは思ってるけれど、こんな時にその話は持ち出さないで。」
ローマはそっぽを向いたままそう言ったが、ビスマルクはそれを気にしなかった。むしろローマをそのような態度に仕向けたのは自分のせいだったと反省していた。
「とにかくだ。」
日向が話を元に戻す。
「今は何とかしてあの化け物を叩き落とす方法を考えなくてはならない。何かいい方法はあるか?」
「それは・・・・。」
5人は沈黙した。航空隊の機銃で寄ってたかって攻撃しても撃墜できないとすれば、いったいどうすればいいのだろう。
「あ〜もう!!じれったい!!」
地団太を踏んだビスマルクは叫んだ。
「誰か何とかならないの!?」
その時だった。泊地にほど近い洋上で一つ・・・いや、二つの点が光り、まっすぐ虚空に向けて登っていったのは。
「翔鶴姉!!やるよ!!風上、攻撃隊、発艦はじめ!!」
凛とした声が響き渡った。
「あれは・・・・!!」
ビスマルクが目を見張った。
「瑞鶴、目標、敵の超大型爆撃機よ。全航空隊、発艦はじめ!!」
改装を終えた第五航空戦隊の二人がようやく洋上に出撃してきたのだ。
翔鶴と瑞鶴が洋上に出ていた。真っ先に目に着いたのは装甲化された飛行甲板である。今までのは木製であり、被弾してすぐに破壊されてしまうようなものだったが、漆黒に白のラインが塗られた装甲甲板は陽光を浴びて光っている。二人の服は改装前とそれほど変わらなかったが、手に持った弓は大型になっていた。
弓は大型になるほど、引き絞る力が要求される。扱いは難しそうだが、ひとたびその強力な弓から放たれた艦載機の威力はこれまでの比ではなさそうだ。
「烈風隊!!紫電改隊!!全機迎撃!!飛び立って!!」
翔鶴が矢をつがえ、キリキリと引き絞る。それを見ていた日向が驚愕したように目を見開いた。
「バカな・・?!」
「何が『バカ』なんですか?」
プリンツ・オイゲンが不思議そうに聞く。だが、日向は呆然と二人の方角を見て固まったように動きもしなかった。
「二本・・・同時だと?!」
第一航空戦隊の双璧でさえ、二本同時に矢を放つことはしない。何故ならそのようなことは元々並の射手では不可能だし、仮に高位の弓道者が行ったとしてもとても正確に目標に飛ばせるものではないからだ。
バシュッ!!と、すさまじい速度で放たれた矢は無数の艦載機と化してまっすぐに敵機に飛んでいく。
「速度が・・・・全然違うわ!!」
ビスマルクがつぶやく。今までの第五航空戦隊の二人が放つ艦載機の速度ではない。初速が段違いだ。まるで戦艦の主砲から放たれた砲弾のよ
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