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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十四話 マリアナ諸島
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吾輩と筑摩は双子のような物じゃからな。似ていて当然じゃろう。」
鳳翔は笑いをひっこめた。
「すみません、笑ったりして。でも真面目な話、筑摩さんのおっしゃることももっともですが、そろそろここにきて敵も戦力を増強してきています。ここまで順調に来れてきていますが、どうも私には順調すぎる様な気がします・・・・。」
「む〜〜・・・。」
利根もうなずきながらそう感じていた。確かにマリアナ諸島攻略は激戦だったが、それでも南西諸島攻略作戦の時と比較するとあっさり攻略できたという気持ちがぬぐえなかったからだ。
「私たちもそれなりに対抗しなくてはこの先持ちません。」
「そうじゃな・・・・。」
利根が腕を組んだとき、二人を呼ぶ声がした。
「あの〜〜・・・・。」
遠慮がちに声をかけてきたのはリットリオだった。そばにローマがいる。二人とも水着の格好だった。
「どうしましたか?」
鳳翔が優しく問いかける。
「あの、やっぱり海はまだ泳げないんですか?」
「お主たちそんなに泳ぎたいか?先日伊勢がクラゲに接触して足がパンパンに腫れ上がったのを見たじゃろう?」
「あれは伊勢さんが油断してたからそうなったのよ。私たちなら大丈夫だわ。地中海じゃ冬だって海水浴や日光浴をするのよ。」
「ええっ!?」
とんでもないローマの発言に二人は驚いた。ローマの方はそれほど仰天発言をした意識はないらしく、逆に二人をいぶかしげに見つめている。
「ましてこんな暑い日に水浴びできないなんてショックだわ。あまり沖に出ないし、気を付けるから、ちょっとくらい駄目?」
ローマの態度もマリアナ諸島にきて以来、ずいぶんと和らいでいた。当初は公国の威信を意識しすぎていたのか、硬い表情だったが、呉鎮守府艦隊の飾らない率直な空気に触れるにつけ、徐々に態度をやわらげていったのだ。このことに一番ほっとしていたのは、鳳翔、そして姉のリットリオだった。
「仕方ないですね。でも、そこの正面のビーチだけにしてください。それとくれぐれも気を付けてくださいね。クラゲは本当に怖いんですから。」
「やったぁ!!」
リットリオが手を叩いて喜んだ。
「姉様、はしたないです。ええ、わかっています。ありがとう。無茶はしませんから。」
そういうと二人は波打ち際まで歩いていって注意深く海に入っていった。
「ま、あの様子なら大丈夫じゃろう。さっき吾輩も波打ち際を歩いてみたが、クラゲの奴が浮いている様子はなかったからな。」
ふと、鳳翔は時計を見た。
「もうこんな時間に。利根さん、暁さんたちを含めてちょっと見ていてもらっていいですか?私は司令部に戻って提督と打ち合わせをしてきます。」
「うむ。」
 鳳翔は砂浜を後にして司令部に向かった。ヤシの木々に混じって様々な建物が建設されており、妖精たちが忙しそうに飛び回っている。

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