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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十三話 究極の索敵網
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れでは逆効果なのよ。すぐに出なさい!」
「逆、効果?あ、ちょっ――!!」
唖然としている紀伊たちを葵は強引に外に連れ出した。
「そう。清霜はね、今はものすごくデリケートな状況なの。私たちが病原菌をまき散らして、清霜が感染したらどうするの!?」
「びょ、病原菌って――。」
「えええ!?私たち、そんなに汚いんですか!?毎日お風呂に1時間入ってボディクリームぬってるのに・・・・ショック。」
榛名が何ともいえない顔をし、讃岐はジットリ目で葵を見返したが、一人紀伊は視線を病室に向けていて、心ここにあらずと言った様子だった。
「人間の体の中には何億っていう細菌が住んでるのよ。いい菌もあれば悪い菌もあるわ。だから私たちは菌まみ――。」
「やめてください。」
榛名と讃岐が同時に声を上げた。
「あ〜あ、これだからアラサーの人はデリカシーがないんじゃん。」
「何か言った?」
葵のにこやかな笑顔のしたにものすごい殺気を感じた讃岐は、
「いえ、何でもありません。葵お姉様。」
「ま、とにかく。そういうわけだから、紀伊。・・・紀伊!」
紀伊は再三名前を呼ばれて、ようやく葵の方を向いた。
「あなたはあなたで早く自分の体をなおしなさい。これは命令よ。命令違反なら、あなたを即刻呉鎮守府に帰投させるわ。いいわね?」
そうまで言われては、清霜の部屋に残ることはできない。紀伊は肩を落とした。
「そのかわり・・・・あなたに一つ課題を与えるわ。」
「課題?」
すっと紀伊の眼の前に束になった折り紙が差し出された。
「これ、折り紙、ですよね?」
と、榛名。
「そう。清霜や他のみんなが元気になってほしいと本気でそう思うのなら、千羽鶴を作りなさい。」
「千羽鶴?」
「そう。折り鶴の作り方は知ってる?あれを千羽折ると願いが叶うと言われているわ。まぁ、本当かどうかは知らないけれど、要はそれを作る人の気持ちが伝わるかどうかっていうところがポイントなの。」
葵の話を聞いていた紀伊の頬が徐々に紅潮してきた。
「わ、私やります!それで清霜さんたちが元気になるなら、やります!」
「私もお手伝いします!」
「讃岐もやります!姉様!」
「でも、まずはその腕を治さないとね。感染症になったら大変だから1日は絶対安静よ。これも命令です。」
「そんな――。」
「後は好きにすればいいわ。・・・・・メディカル妖精!!」
「そんな!!ああぁぁっ!!」
葵の声に応じてどこからともなく表れた幼い少女の様な妖精たちがあっという間に紀伊を引っさらうようにして連れ去っていった。
「やれやれ、これでひとまずはいいかな。」
「ウソだったんですか?紀伊さんを病室から遠ざける口実であんなことを?」
榛名の問いかけに葵は額に手を当てて吐息を吐いた。
「あれで紀伊までが倒れたら私は軍令部
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