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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十三話 究極の索敵網
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ことによる。
 何よりも、尾張自身が放った覚悟の言葉に全軍が声こそ出さなかったものの、感銘を受けており、それならば尾張に姉である紀伊の開いた道を進ませ完成させようという配慮がされたのであった。


 出撃は3日後と決まった。それまでは各員が英気を養いながら2日間通常業務に専念し、その間に順次改装を受けることとなる。そして、最後の1日を休息に当てることとなるのである。


* * * * *
紀伊はそっと清霜のベッドのそばに座った。滾々と眠りについている清霜の顔色はよくない。メディカル妖精の話では集中治療の甲斐あって、峠は越したものの、それでも予断を許さない状況だという。比叡たちも大けがをしているが、命に別状はなく、意識もある。一番重傷を負っていたのは清霜だった。
自分の一瞬の油断から、清霜に大けがを負わせてしまったことを紀伊は悔やみ続けていた。
(あの時もっと周りを見まわしていたら――!!どうして――!!私は、大馬鹿よ!!バカ、バカ、バカ、バカ、バカ―――!!!!}
紀伊は自分を責めつづけていた。傍目で見ていられないほどの憔悴ぶりだった。

高速修復剤や、新型蘇生薬の使用申請はまだ認められていない。これは清霜だけでなく、紀伊たち全員に対しての事だった。理由は、例のレーダー搭載艦破壊作戦や残存する第一機動艦隊との決戦を別艦隊が行った後、ミッドウェー本島攻略を行うため、日数があることである。通常入渠で治せるのなら、できるだけ資源を節約したいというのが上層部の意向のようだ。
「姉様・・・・。駄目です・・!まだ姉様も重傷なのに、そんなに無理しちゃ――。」
讃岐が小声で、だが強い口調で言った。
「私のせいで、清霜さんがこんなになったのに、私だけ寝ているわけにはいかないわ。」
紀伊は首を強く振った。
「紀伊さん・・・・それではあの時の瑞鶴さんと同じですよ。」
榛名が後ろから心配そうに声をかけた。南西諸島攻略作戦で重傷を負って意識不明の翔鶴をずっと瑞鶴はつきっきりで見守っていた。その時に紀伊と榛名が見舞ったが、起きているからとはねつけられ、鋭い言葉で追い返されてしまったのだ。

 今の紀伊はまさにその瑞鶴のようだと榛名は言っているのである。

それに対しても、紀伊はうなだれたまま、
「・・・・・私、あの時も・・・そして、鳳翔さんの時も偉そうにああいいましたけれど・・・・全然、本当に全然、わかってなかったんですね・・・・・。自分が同じような立場になってみたら、とてもそんな寝ているなんてできない・・・・。」
「紀伊さん!」
「少し・・・清霜さんと二人にしておいてもらえますか?」
「駄目よ。」
鋼鉄の声がした。3人が振り向くと、葵が病室に入ってきていた。
「紀伊。清霜のそばにいてあげたいという気持ちはよくわかるけれど、そ
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