第三十三話 究極の索敵網
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な太平洋上に展開していると見て取れた。正確な位置はわかっていないが、おおよその位置は特定できる。大淀。」
「はい。」
ディスプレイ上に問題のレーダー艦の位置が表示されたとたん、艦娘たちがざわめいた。
「離れすぎている・・・!!」
矢矧の発した言葉が皆の思いを代表していた。
「鎮守府近海に一隻、北方に一隻、そして沖ノ島の東方に一隻・・・・これを全部破壊しなくちゃならないのか?」
麻耶が無茶苦茶だというように両手を広げた。自分たちの防衛の要であるレーダー搭載艦に敵が向かえば、当然深海棲艦も黙っていない。全力を挙げて阻止するだろうし、何よりこちらの行動はすべて筒抜けだ。敵が網を張る真っ只中に突撃しようと言っているようなものである。
「大変だなぁ。基地航空隊で破壊できないの〜?」
と、舞風。
「艦載機や航空隊は使い捨ての矢じゃないんだよ!」
飛龍がいつになく強い調子で言った。
「あ、ごめんなさい・・・・。」
舞風がしゅんとなる。
「実は我々も既に二度航空隊を派遣している。だが、一回目の攻撃は相手を発見できず、二回目の攻撃では相手に肉薄できたが、撃沈するには至らなかった。」
「だったら三度目は!?」
こう発言したのは古鷹だったが、長門がと息を吐いた。
「実はここ最近の連戦で航空隊の損傷が激しい。資材は充分にあるが、機を生産できるだけの設備が追い付いていないのだ。軍令部から航空隊を使用した作戦を当分中止するように言われたよ。」
「そんな・・・・!!」
「したがって・・。」
長門は艦娘たちを見まわした。
「レーダー搭載艦は我々の手で沈めなくてはならない。」
きっぱりと放たれた言葉は静まり返った会議室に響き、そして消えた。
窓の外から蝉が盛んに鳴き声を上げている。夏も盛りを過ぎ、そろそろ秋に差し掛かろうという頃だったが、彼らは夏の盛りと同様鳴き続けている。秋を迎える前の、死を迎える前の最後の輝きを放っておこうというかのように。
「いいわ。」
一人の艦娘の声が沈黙を破った。
「私が行く。」
そう言って立ち上がった艦娘を見た誰もが目を疑った。長門を見返していたのは尾張だったからだ。
「お前がか?」
「あなたが!?」
「お前が!?」
武蔵、陸奥、長門の三人が同時に声を上げた。
「そうよ。同型艦の・・・姉のしくじりは妹である私が償うわ。当然の事でしょ。」
「お姉様、紀伊姉様は――。」
「もちろん!」
尾張はちらと近江を見ながら、その反駁を封じた。
「私は姉がしくじったとは思ってはいないわ。姉は最善のことをした。もっとも、プロトタイプだから私には及ばなかったけれどね。私がいたらもっと被害を小さくできたはずだもの。でも、そんなことはどうでもいいわ。」
尾張は長門のみならず皆を見まわしていった。
「言って
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