120部分:解かれた束縛と二人の賢者その一
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解かれた束縛と二人の賢者その一
解かれた束縛と二人の賢者
ーマンスター城ー
時は少し遡る。解放軍がレンスター〜アルスター間の戦いにおいて勝利を収め追撃に移った頃だった。兵力を全て解放軍に向けて送ったマンスター城にある一団が現われた。
彼等は自らをマギ団と名乗った。そしてマンスターのフリージからの解放を宣言するとたちまちマンスター城を占拠した。
これに対しフリージ側は戦力のほぼ全てを解放軍に向けていた為兵を差し向ける事も出来ず放置していた。
解放軍がトラキア河西岸に達したとの報はマンスターにいる彼等にも伝わった。同時に南から良くない報も伝わった。
「そうか、やはり来るか」
緑の髪と瞳を持つ整った顔立ちの背の高い若者が城内の会議室で知らせを聞いた。紫の服の上に青い上着を着、白ズボンと白マントを身に着けている。
「セティ王子、どうしましょう。今トラキア軍に襲われたらひとたまりもありませんよ」
一人の若者が言った。
「解かっているさ。僕に考えがある」
「何ですか、それは」
「それは・・・・・・」
彼は自分の考えを会議室にいる者全員に述べた。それを聞いた一同は大きく頷いた。
「それはいい。これでマンスターは救われる」
「トラキアの奴等もこれでマンスターへ入れなくなるぞ」
皆口々に称賛する。
「そして誰が行く?」
その言葉に一人の若者が立った。
「僕が行きましょう」
「ホーク・・・・・・」
茶の髪と黒い瞳の長身の若者である。黒い上着と茶のズボン、青いマントを身に着けている。
「悪いが行ってくれるかい」
セティが言った。ホークはその言葉に頷いた。彼はすぐにマンスター城を発った。
トラキア河を挟んで解放軍とフリージ軍は睨み合っていた。トラキア河西岸の船と橋はフリージ軍により全て焼き払われたものの解放軍はレンスターに配されていた船を使う事により渡河の準備を整えていた。しかし対岸に布陣しているフリージ軍の守りは固く河を渡れなかった。とりあえずは守りを固め警備を強化することにした。
アレスは柵に囲まれ天幕と旗が林立する陣でリーンと一緒に草の上で座し剣を磨いていた。巨大な刀身が黒く輝く。
「アレス王子、宜しいですか」
金髪に青い瞳の少女が来た。ナンナである。
「ナンナか。何だ」
「貴方にお渡ししたいものがあって参りました」
「俺に?何を?」
ナンナは懐から何か取り出した。どうやら手紙らしい。
「我が母ラケシスがエルトシャン王の異母妹だった事はご存知ですね」
「ああ」
「これはエルトシャン王が主君シャガール王に最後の諫言をする前に我が母に宛てた手紙です。母は生前貴方にお会いしたら絶対にこの手紙を渡したいと私にいつも言っていました」
「叔母上が
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