提督はBarにいる×zero-45編・その1
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い人間にどこで知り合うんです?」
『影法師』……この通称を知る者は少ないだろう。言ってみれば海軍の何でも屋だ。犬の世話や広報部のアイドルのパシリから、海軍に都合の悪い存在を拐い、拷問し、必要な情報を得て殺したりと一体どこのお庭番衆だとツッコミを入れたくなるような存在。眉唾物の法螺話として語られつつも、その存在は真しやかに語られる。そんな危なっかしい相手を俺は知っているーーような気がする。確証はないが、思い出そうとすると頭の一部に靄がかかったように思い出せない。まるで、『意図的に記憶を消された』ように。
「ホントに大丈夫ですか?」
青葉が顔を心配そうに覗き込んできた。心配ない、と振り払うと、無理矢理話題を変える為に資料の吉野三郎のページをめくり、所属艦娘のページにする。
「中々クレイジーな連中が揃ってるらしいな、この部署は」
「無茶苦茶ですよ、はっきり言って」
51cm連装砲を操る榛名、文房具?で戦う妙高等々、目を疑う連中が多い。資料を見て察するに、他の部隊から爪弾きにされた一能突出型の艦娘を寄せ集めたように見える。大隅のヤロウが考えそうな事だ。
ウチは平均的に能力を高めてから、個人の力量や才覚に併せて得意分野を伸ばしていく。そうする事であらゆる状況に対応出来るようにする為だ。しかしあの大隅 巌という男は違う。何かを捨てででもそれを補って余りある能力がある者を好んで使い、それを戦略で搦め手にしてしまう。俺も嫌いな戦い方ではないが、そうなればどうしてもゲリラ的な戦いになってしまい、軍としての戦術には適さない。少数や局地戦には力を発揮するだろうが、物量による飽和攻撃には弱そうだ……というのが俺個人の見立てだ。正面から対峙する事になれば、少なくない被害は覚悟しないといけないだろう。
「でも、ご飯食べに来るだけならこの時雨だけが付いてくる事になるんだと思います」
「成る程、吉野課長の懐刀ってワケだ」
「えぇ、まさに。格闘戦に特化した個体の様ですから」
解体寸前の負傷を負い、そこからどうにか復帰した個体であり、砲撃・雷撃が不能になった戦闘能力を、格闘と剣術に回したらしい。ウチにも格闘戦が得意な奴はゴロゴロ居るが、完全に格闘戦のみの奴は居ない。
『相手になるとしたら……神通か夕立、夜限定にはなるが川内辺りもか』
或いは格闘戦の得意な連中で囲んでしまう、というのも手ではあるな。
「って、飯食いに来るだけかも知れん連中に、物騒な話だなぁ」
思い過ごしで済めばいいが、と俺は心の中で呟いた。
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