提督はBarにいる×zero-45編・その1
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提督同士の交流月間と銘打ったこの企画だったが、当然その交流相手が俺の意にそぐわない相手である事も考慮すべきだった。そんな多少の後悔を孕んだこの感情をどう処理すべきか、俺は珍しく迷っている。
珍しくジジィから俺の私用のスマホに電話が来たのは、その交流月間の企画がスタートした翌日の事だった。
「どしたー?珍しいじゃねぇか、こっちに電話してくるなんてよ」
仕事絡みの用件なら、備え付けの電話で十分なハズだ。
『いや、この間の企画の事でちと面倒な事になってのぅ……』
「随分歯切れが悪りぃなオイ。はっきり言っちまったらどうだ?」
少しの沈黙の後、意を決したようにジジィの奴が口を開く。
『お主は……大本営特務二課、という部署を知っとるか?』
その名前を聞いた瞬間、嫌な奴の面を思い出して思わず渋面を作る。
「知ってるよ、あの大隅のヤロウお抱えの部署だろうが。それがどうかしたか?」
何で俺がこんなに嫌な面をしているか、その為にはまず、我が海軍における組織的構造を説明せねばなるまい。
まず、海軍のトップは電話先の元帥のジジィだ。あんまり認めたくはねぇ事実だが、これは揺るがない。その下には俺を含めて5人の大将が控える。その内3人はそれぞれ、事務方のトップ、防諜関連の長、ラバウル技研の長官と重要なポストには就いているが、実働的な“力”はほぼ無いと言って差し支えはない。問題は俺ともう一人、軍令部総長兼聯号艦隊司令長官・大隅 巌である。
大隅 巌は海大卒のエリートであり、将来を属望され、実際にその地位まで登り詰めた男だ。同じ大将という立場ではあるが、向こうは軍令部総長であり、海軍最強の『聯号艦隊』を指揮する提督だ。階級は同じでも格は向こうが上、ではあるのだが……俺と大隅のヤロウは徹底的に反りが合わない。方や国内の有力な鎮守府を取り仕切り、方や南方の守りの要とされる2人は考え方から嗜好に至るまで食い違う。
向こうは政治的な判断も混じるが故に頭でっかちな対応が多く、俺が現場至上主義なのも気に食わないらしい。そもそも俺自身こいつが気に食わなくて仕方がない。海軍最強の艦隊等と持て囃されているが、そりゃあ国内の大鎮守府から選抜した精鋭で艦隊を組んだら強いに決まっているだろうが。それを鼻高々に自慢している時点でもう無理。しかも子飼いの諜報機関も持っているから、謀略・計略思いのまま。特に表に出せないブラック過ぎるお仕事をこなしている(とされている)『大本営特務課』は、実質大隅のヤロウの手駒と化している。
俺は派閥闘争なんぞ興味もねぇから、手を出されない限りは此方からは無干渉。しかしぽっと出で元帥のお気に入り(俺は迷惑してるが)ってのが気に食わないのか、何かにつけて俺に茶々を入れてくるのだ。一度バチ
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