提督はBarにいる×熾火 燐・その4
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しては、ケッコンはある種の『ご褒美』だと捉えています」
「ほぅ?」
「私達第二世代の艦娘には、明確な『親』と呼べる存在が居ません。その為身近にいる艦娘ではない人……提督にどの様な形であれ本能的に繋がりを求めているのだと思うんです」
言われてみれば確かにな、と納得出来る部分が多い。壬生森の傍らにある叢雲は第一世代の艦娘だ。元は人間である為に親や家族は存在する。対してウチの連中は第二世代型の艦娘ばかり。身体は妖精さんの謎技術で形作られており、親や家族は存在しない。姉妹艦という存在はいるが、アレはどちらかと言うと宿っている艦の魂での繋がりとでも言うべきか、血の繋がり的な物はないと妖精さん達も断言している。
「だからこそ、提督を『父親』であり『友人』であり、『恋人』や『夫』……果ては『家族』のように振る舞って欲しいと思うのだと思います、私を含め」
そう言って赤面する早霜を、少し愛おしく思ったのは仕方ない事だよな?確かに精神年齢の幼い者は父親に対しての甘え方だし、軽巡や重巡連中は仕事以外の時間では気軽に接してくる。そして指輪を持っている者達はまさに夫婦であるかのように接する事を求めてくる。早霜の語る言葉には、実体験としての証拠が十分に揃っていた。少し大人びた早霜が、親としての振る舞いか恋人のような振る舞いのどちらを求めているかは判別が着いていないが。
「そんな相手に褒めてもらいたい……そう思うのは不自然でしょうか?少なくとも私は、提督に褒めて頂きたいと日々の業務に励んでいます。その結果が錬度であり、その終着点こそケッコンカッコカリと思っています」
「成る程、ケッコンはあくまでも結果であり、目的ではないか……貴重な意見だ、どうもありがとう」
壬生森はそう言うと早霜に頭を下げた。その目には何か、過去を懐かしむような眼差しを見た気がした。
結局壬生森と叢雲の2人は明け方近くまで飲み明かし、明るくなり始めた海に帰っていった。
「さぁて、店の片付けしないとな〜……」
「お手伝いします、店長」
2人を見送りに来ていた早霜と、店への帰り道を急ぐ。その道すがら、俺は早霜の頭に手をポンと置いて撫でてやる。
「いつもありがとよ、早霜」
「はい……!」
撫でられた早霜の顔が赤かったのは、朝焼けの照り返しだけじゃ無かったハズだ。
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