提督はBarにいる×熾火 燐編・その1
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る。
「ちょ、女性に対してその言い方は酷くないですか!?」
「まぁまぁ、馬鹿力は昔からだろうに。酔っ払ってグラス握り潰したのは一個や二個じゃねぇだろが」
そう言って高雄の前科を並べてやると、真っ赤になって逃げていってしまった。フォローは後にしよう。
「……で、これは?」
「他人の城にお邪魔するんだ、手土産のひとつも準備しないと失礼かと思ってね」
そう言って目の前の男ーー壬生森は不敵にニヤリと笑った。
「ちょいと、失礼」
早霜に目配せしてとある物を準備させる。それは簡易な蛇口。しかしそのすぐ後ろには木ねじが付属している。これは酒樽等にねじ込んで、そこから注げるようにしてあるコックだ。中身が液体であり、Barに持ってきた事から恐らくは酒だろうと当たりを付けた。樽にコックをねじ込み、栓を開ける。
『さて、ワインかビールか、はたまたウィスキーか?』
俺はジョッキを蛇口に当てて、液体の登場を待つ。溢れて来た液体の色は琥珀色……それも鼈甲に近い鮮やかな琥珀色。スンスンと匂いを確かめ、ぐいと煽って口に含む。少し口の中で転がし、飲み込む。
「『ワイルド・ターキー』とはまた貴重な物を。密輸品かい?」
「まさか。政府が扱いに困っていたアイオワを此方で引き取ってもらったと聞いた。その迷惑料も込めて、だ」
淡々と語る壬生森に俺は鼻をフンと鳴らす。迷惑料も何も、こっちは戦力増強してもらってんだ。運用コストは大和型に近い物があるが、そこは大した問題ではない。
『……ん?壬生森、壬生森…どっかで聞き覚えが……』
朧気な記憶の糸を手繰る。どこかで見聞きしたのは確実だ、それが一体どこだったか……やがて1つの答えに至った。
「アンタもしかして……『蒼征』の壬生森か?」
「その名前も既に懐かしいな。その通り、私がその壬生森だ」
通りで覚えがあったハズだ。国内の四大鎮守府、横須賀・呉・佐世保・舞鶴。その中でも壊滅の危機に瀕したのが佐世保鎮守府。その当時の提督であり今の国防圏を取り返した最初期の提督の一人であり、三笠教官の現役時代を知る数少ない証人だ。そんな伝説的な人物が今、目の前にいる。
「そんなすげぇ提督が俺みたいなチンピラ崩れに何の用だい?」
「私は既に提督の職は辞した身だ、それに今の仕事の方が本職でね……しかし、チンピラ崩れとは卑下し過ぎではないかね?」
こう言うのを端から見れば、『狐と狸の化かし合い』とでも言うんだろうな。俺は心の中の警戒レベルを最大まで引き上げた。
「ここに来た理由?酒を飲みに来ただけだが?」
「……は?」
「だから、私達二人はこの店の噂を聞き付けてね。それで是非そのお手前を味わいたいと、横
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