提督はBarにいる×熾火 燐編・その1
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「内務省のお役人が、ねぇ……何しにウチなんかに」
元帥のジジィの奴からそんな一報が入った。何でも『軍閥化や非合法な活動が疑われる鎮守府への査察官』だそうで、お前はそんな事しておらんじゃろうな?というジジィからの牽制球まで頂いた。非合法な集団との付き合いが無いとは言わんが、それでも目的は鎮守府の自営戦力の強化の為のみの繋がりであり、後ろ暗いような仕事などはしていない。そこを突つかれると苦しいが、その他は健全経営そのものだ。
「店長、まぁそう固くならずに。案外染嶋大佐のように、査察名義で飲みに来ただけかもしれませんし」
早霜は悠長にそんな事を言っているが、俺としちゃあ気が気ではない。それに、先方から事前に連絡が入っていたのだ。
『来訪当日にはとある積み荷を積んでいくので、港湾部に艦娘を数名待機させておくように』
何を積んでくるつもりなのやら。今から戦々恐々としている。まさかの始末書の山……?まさかな、この間連載が終わった某漫画の主人公の警官じゃあるまいし。と、そんなアホな事を考えていると港湾部で待機させておいた明石から通信が入った。
『提督?此方に向かってくる輸送船を発見、味方の識別信号を出しています』
「了解、そのまま誘導して港湾部に接舷。後は乗員の指示に従い、積み荷を確認しつつ荷降ろしと運搬を行え」
『了解でーす』
ブツッ、という音と共に通信が切れる。さてさて、此方も準備しますかね。
明石からの通信が入って30分もしない内に、その来客はやって来た。一人はグレーの背広を着た30代半ば位の男。もう一人は俺達もよく知る叢雲改二だった。その後ろには、何やら樽のような物を抱えた高雄が控えている。
「お初にお目にかかる。内務省統合分析室・分析官の壬生森だ」
「秘書の叢雲よ、宜しくね」
「そりゃどうも、ご丁寧に。この鎮守府の提督の金城だ。生憎と堅苦しいのが嫌いでね、言葉遣いが荒いのはご容赦願いたい」
「構わんよ、此方もその方が話が早い」
そう言いながらカウンターに腰掛ける壬生森と叢雲。二人は自然体の様にしていて、隙がない。この男はともかく叢雲は間違いなく手練れ。事と次第によっちゃあ荒事になるかもしれないという懸念がある上で、この二人を相手取るのは中々に手厳しそうだ。そんな警戒感を強める俺の緊張をへし折ったのは、まさかの高雄だった。
「あの……この樽は何処へ…?」
「あぁ、そうだった。その樽はカウンターの隅にでも載せてくれたまえ。すっかり失念していたよ」
では此方に、とカウンターの上にドスン、と樽を置く高雄。チャプンと音がしたのを見ると、中身は液体らしい。
「お〜、流石高雄、馬鹿力だなぁ」
早霜も素直に感心したのか、パチパチと拍手してい
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