ヘイトレッドチェイン
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になるとは限らない。少なくとも姉御は報復心を受け止めるのは自分だけで十分だと思って、お前達には死んでも伝えないことを選んだんだ。確かに自分に関わる事なら知りたいと思う気持ちは理解できし、知る権利も一応あるだろう。でもそれは同時に、スカルフェイスの掌の上に自ら乗るということを意味するんだ」
「それでも……それでも知りたい。マキナちゃんの遺志をちゃんと理解するには、隠された真実を知らなければならん。真実を知れば途方もない苦しみを味わうとしても、こればかりは逃げる訳にはいかへんねん」
「だそうだぞ、烈火の剣精? ならば望み通りのものを見せてやろう」
スカルフェイスの操作で、一行の眼前にモニターが投影される。そのモニターには海岸線沿いの道路を二人の男女と物心もついてないほど幼い茶髪の少女が乗っている自動車が走っているのを、上から眺めている光景が映し出されていた。
「あれ……? この車、見覚えがある……? なんで……身体が震えとるんや?」
「あのさ、私の気のせいかもしれないけど、後部座席に乗ってる女の人……なんかはやてに似てない?」
「言われてみればこの人、どことなくはやてちゃんを大人にしたような見た目だね」
「ということは後ろの子供は……ッ、まさか……!」
ジャンゴがハッと気づいた次の瞬間、映像の下の方から唐突に赤い光が発射される。その光をなのはとジャンゴ、アギトは覚えていた。“蜜蜂”……ポー子爵が地球で高町家に撃ってきたミサイル。その時はマキナが撃ち落としたあのミサイルが、今度は映像の中で何の変哲もない車に向かっていき……。
「やめろぉぉおおお!!!」
アインスが叫ぶが、無慈悲にもミサイルは着弾……暖かな幸せを内包していた車は一瞬の内に炎に包まれて激しく横転する。防潮堤に衝突して回転が止まったものの、運転席していた男性は今の衝撃で全身がぐちゃぐちゃに潰れてしまい、そして……無数のガラスが突き刺さった血まみれの身体で後部座席からはい出てきた女性は、必死に腕の中に抱いている子供を炎から守っていた。
「あ……あぁぁぁ……! お……もい……だした……! これは……こ、これは……!!」
全身が冷水に浸ったかの如く震え出したはやては、車の燃料がさらに爆発を起こし、身を呈して子供をかばった女性を焼き尽くすのを目の当たりにした。それから消防車などが消火活動に当たる中、辛うじて爆発から逃れて生きていた子供の手には……重厚な鎖に巻かれた十字架の本が抱かれていた。
「これが、今の闇の書が転生した瞬間の記録だ」
「お、お父さん……お母さん……! そんな……そんな……!!! う、うあぁ……わあぁああああ!!!!!」
「あ、主! お気を確かに!」
「そうか……そうだったのか…
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