第二章
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「ちゃんとね」
「間違っても蕎麦とか言わないでね」
「流石にそれはないわ」
「チョコレート渡すのね」
「当たり前じゃない、そんなの」
「じゃあちゃんとチョコレートあげるのね」
「そうするから」
美穗はそこはしっかりするとだ、悠子に言い切った。しかし勢いよく蕎麦を食べ終えたその顔はとてもバレンタインを思わせるものではなかった。蕎麦つゆの匂いまでさせているので余計にだった。
しかしだ、そのバレンタインの日二月十四日にだ。美穗は。
学校で交際している真壁林太郎を呼び止めた、背が高く太い眉と強い光を放つ目を持っている茶髪の少年だ。高校一年で同じクラスで何かと話していて馬が合ったのでそれで付き合う様になっている。ただし軽いキス止まりだ。実は美穗も林太郎もこうしたことには奥手であり真面目なのだ。
その彼にだ、美穗は彼を昼休みに校舎裏に呼んでそこで言った。
「あの、バレンタインだから」
「チョコレートだよな」
「今からあげたいけれど」
「蕎麦じゃないよな」
林太郎もこのことを確認した、美穗の蕎麦好きは彼氏である彼も知っているので。
「幾ら何でも」
「まあそれはね」
「それは?」
「蕎麦粉は使ったわ」
「おい、チョコレートにか?」
「だから蕎麦粉のクレープ生地でね」
蕎麦は蕎麦でもというのだ。
「それで包んでる、チョコレートもクリームの柔らかいのだから」
「生よ」
「そうよ、勿論蕎麦粉を使っていないちゃんとしたのも作ってるから」
そうしたチョコレートもというのだ。
「そっちも食べてね」
「ああ、しかし蕎麦粉からクレープの生地か」
「本来はそうして作るのがクレープの生地らしいわ」
「そうか、じゃあそれ食わせてもらうな」
「それじゃあね」
こうした話をしてだった、林太郎は美穗からバレンタインのチョコレートを受け取った。蕎麦粉のクレープに包まれた方も。そして食べてみるとチョコレートもそうだがクレープの方も美味かった。美穂の料理の腕は蕎麦屋でバイトしているせいか中々確かだった。
その次の日だ、美穗は悠子と登校中に話をしていた。二人で学校の最寄りの駅のホームを歩いている。電車から出て今から駅の改札口を出ようとしている。
その中でだ、悠子は美穗に確認を取ったのだ。その確認はというと。
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