第三十一話 論戦その五
[8]前話 [2]次話
「そうしましたが」
「聖書を読まれていました」
「おそらく今もです」
「そしてそのうえで」
「この度の論戦に挑まれる様です」
「あの方も」
「それならいいが。どうもだ」
ここでだ、太子はこうも言った。
「妃は最近少しだ」
「はい、元気がですか」
「おありでないと」
「そう見える、大丈夫なのか」
マイラの身を気にしての言葉だった。
「それが気になる」
「論戦も体力が必要です」
「そのことを考えますと」
「どうしてもです」
「気になりますね」
太子の側近達も言う。
「お妃様のことは」
「お身体のことは」
「健康であって欲しいですね」
「出来るだけ」
「全くだ」
また言った太子だった。
「妃はこれからも頑張ってもらいたい」
「お子の為に」
「もうけられる為に」
「人は男だけでは子をもうけられない」
この絶対の摂理をだ、太子は言った。
「女もなくしてはだ」
「はい、聖母は違いますが」
「あの方は女性だけで産まれましたが」
「主を」
「しかしですね」
「あの方以外は」
「男と女なくしては」
まさにこの双方があってこそというのだ。
「子は出来ぬ」
「神からの祝福もですね」
「男女あってこそ」
「ロートリンゲン家の発展もですね」
「男女共にあってですね」
「それでやっていけたのだ」
だからこそというのだ。
「妃にしてもそれは同じでだ」
「是非共ですね」
「お子が出来るには」
「お妃様も健康であられてこそ」
「今日だけのことではないですね」
「むしろこれからだ」
今日よりもというのだ。
「子をなす為にはな」
「だからこそですね」
「お妃様に大蒜や生姜を多く食べて頂いていますね」
「他の滋養にいいものを」
「何かと」
「そうだ、妃の顔色は悪い」
どう見てもだ、このことは太子だけでなくマイラを知る全ての者が思っていることだ。彼女の顔色の悪さはだ。
だからだ、こう言ったのだった。
「これからもそうしてもらう」
「滋養にいいものを口にされ」
「健康になって頂く」
「そしてそのうえで」
「お子もですね」
「それも一人や二人ではない」
太子は子供の数についても語った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ