第三十一話 論戦その一
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第三十一話 論戦
論戦の日が来た、この日の朝だ。
マリーは質素な朝食を食べつつだ、朝日を観ていた。
「今日は特にですね」
「お早いですね」
マリーの侍女達が彼女に声をかけていた。
「まさかもうとは」
「朝日の前に起きられるとは」
「やはりです」
「今日のことを意識されてですか」
「はい」
その通りだとだ、マリーも答えた。パンと牛乳、それに無花果だけの食卓である。
「そうです」
「やはりそうですか」
「今日のことに備えられ」
「朝早く起きられ」
「そのうえで」
「食事の後で」
窓からだ、朝日が見えていた。暗かった空が次第に明るくなってきている。
「礼拝堂に行きます」
「そしてですね」
「お祈りをされるのですね」
「神に」
「そうです、主と精霊達にも」
その三位全てにというのだ。
「そうします」
「わかりました、では」
「それではですね」
「食事の後に礼拝堂ですね」
「そちらに行かれて」
「祈られますか」
「その後で聖書を読みます」
このこともだ、マリーはするというのだ。
「そちらも」
「論戦の前に」
「聖書もですか」
「読まれますか」
「気持ちを抑えてくれます」
聖書、これを読むとというのだ。
「ですから聖書を読み」
「わかりました」
侍女達はマリーのその言葉に応えた。
「ではです」
「そうされて下さい」
「私達はそうとしか言えませんが」
「是非」
「はい、今日のことは大きいです」
このことをだ、マリーはよくわかっていた。それ故での言葉だ。
「ですが昨日はよく眠りました」
「はい、昨日は早いうちからでしたね」
「お休みでしたね」
「ベッドに入られて」
「そして眠られましたね」
「眠りは忘れてはなりません」
それはというのだ。
「ですから」
「早いうちからですね」
「よく眠られたのですか」
「夜もまた」
「そうされましたか」
「そうしました、しかし」
それでもだ、マリーは無花果を食べつつ述べた。
「ついついです」
「朝はですか」
「早く起きられましたか」
「そうされましたか」
「朝日の前に」
まさにその前にだった、マリーは起きて夜に控えていた侍女達に声をかけて身だしなみを整えてもらい今食べているのだ。
そうしつつだ、こう言うのだ。
「起きるとは思っていませんでした」
「ですか、しかしですね」
「それでもですね」
「起きられたので」
「お食事を摂られ」
「礼拝もですね」
「します」
その様にというのだ。
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