115部分:再会その一
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再会その一
再会
レンスター城における攻防戦とレンスター〜アルスター間における会戦、この二つの戦いに見事な勝利を収めた解放軍は休息の後そのまま敗走するフリージ軍を追撃に移った。まず主力はレンスター方面を進みリーフ達と合流した後追撃し、セリスはオイフェ等と共にベルファスト城のゼーベイアと合流し森林から北上しフリージ軍の退路を脅かさんとしていた。
「やはりベルファストから来ていますか」
解放軍の動きは退却するイシュタルにも伝わっていた。後方を振り返った。遠くからでも解放軍が砂埃をあげ追ってきている。
「然るべき将を森の出口へ派遣しましょう。このままでは我が軍はコノートへ達する前に挟撃され全滅してしまいます」
「しかし誰を・・・・・・」
参謀の言葉にイシュタルも黙り込んだ。どの者も疲れきり到底解放軍の猛攻を持ち堪えられそうにない。だがこのままではイシュタル自身の言葉通り退路を絶たれる。どうすればこの危機を凌げるか、彼女が逡巡したその時誰かが言った。
「じゃあ俺が行くよ。ずっと出番が無くて暇だったしな」
その声はファバルのものだった。イシュタルが振り向くと親指で自身を指差しながら立っていた。
「ファバルさん・・・・・・」
彼はニッと笑った。
「要は森から来るシアルフィの奴等をこっちがコノートへ逃げ込むまで足止めしときゃいいんだろ。任せときなって」
「しかしシアルフィ軍は・・・・・・」
「まあ堅いことは言いっこなし。俺を信じなさいって」
いささか子供っぽいファバルの強引な言葉にイシュタルは思わずクスッと笑った。
「解かりました。ではベルファストの方はファバルさんにお任せしますね」
「そうこなくっちゃ。じゃあ向こうに行ってくんな」
そう言うや否や森の出口の方へ駆けて行った。疲れを知らないのか信じられない速さであった。
「何か大きな赤ん坊みたいな人。けれど話していると穏やかになれるわ」
イシュタルは駆けていくその後ろ姿を眼を細め頬を緩めて見送っていた。彼女は気付かなかったがファバルの手にしている長弓が淡い光を発していた。
イシュタルの迅速かつ的確な指揮によりフリージ軍は何とかトラキア河西岸まで辿り着いた。次々とトラキア河に架けられた大橋を渡り用意されていた船に乗り込んでいく。
「急げ!遅れるな!」
指揮官や将校達が急がせ古参下士官の叱咤が飛ぶ。橋を駆けて行き船を急いで漕ぎ出す。
「後どれ位かかります?」
イシュタルは殿軍の指揮を執りつつ将軍の一人パルマンに問うた。
「三十分程です」
イシュタルはチラリと砂塵を巻き上げながら突進して来る解放軍を見た。ギリギリのようだ。
「全員渡りきったら船と橋に火を放って下さい。シアルフィ軍に利用させては
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