第一章 天下統一編
第十一話 策謀
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衆人環視の元で磔にさせてもらう。
「殿、韮山城は如何に攻められますか?」
「江川英吉が篭る江川砦を攻め落として味方につくように説得する」
「もし、江川親子が通じて何か画策していれば動揺からこちらに靡く可能性はありますな。長門守殿、江川砦に篭る兵の数はどのくらいですか?」
曽根昌世は俺の提案に乗ってくると藤林正保に話を振った。
「江川砦に篭る兵の数は百人位だ。それ以外に江川一族や家臣の家族達も篭城しているので二百人位はいる。それにかなりの数の鉄砲を運び込んでいる」
「鉄砲が幾らあろうとそれを使いこなせなければ敵ではない。長門守殿、江川兵は鉄砲の練度はどの程度です?」
岩室坊勢祐が腕組みしながら藤林正保に聞いた。
「江川兵だけでなく韮山城に篭る兵は鉄砲の扱いには慣れているようだった。ただ、急造の鉄砲組もあるため練度にはばらつきがある」
「勝算は十分にあります。根来の者なら鉛玉と玉薬がある限り間髪居れず弾幕を張れます。その隙に砦に突入してくれれば何とかなります」
岩室坊勢祐は胸を叩いて俺に言い切った。
「殿、江川砦の鉄砲組を封じ込めた暁には五千石をお願いいたします」
岩室坊勢祐は口角を上げ笑みを浮かべ俺に論功の要求をしてきた。俺は秀吉から伊豆国を貰ったら家老達に一万石ずつ与えるつもりだった。それに彼らには発憤してもらう必要があるからな。
「勢祐、五千石といわず伊豆国を手に入れれば一万やる。だから、この北条征伐で精一杯死力を尽くしてくれ。長門守も内匠助もだ」
俺は岩室坊勢祐、藤林正保、曽根昌世を順に見た。家老達は俺の申し出に目を見開くが直ぐにやる気に満ちた表情に変わった。岩室坊勢祐、藤林正保には子飼いの家臣がいるが知行が千石だから全員を呼び寄せることができずにいる。一部は俺の直臣にして彼らに与力として付けているが領地には限度があるからこれ以上は無理だ。だから、俺の加増の話は彼らを発憤させるはずだ。一万石もあれば彼らの郎党を全員呼び寄せることができるはずだ。
「私は伊豆国だけで満足しない。関白殿下は手柄次第では更なる加増を約束してくれた。俺も死ぬ気で頑張る。だからお前達も俺に着いて来てくれ」
「殿、剛毅な物言い気に入りました。岩室坊勢祐が殿のために手柄を取って見せます!」
「殿、この長門守も勢祐殿には負けませんぞ!」
「殿、必ずや江川砦を落としてみせます!」
場の空気は盛り上がった。俺は今後の方針を反芻した。江川砦を落としても江川英吉がすんなりと俺に協力するだろうか。彼の後ろに徳川家康が控えていることを考えると俺に協力的にならない可能性もある。
俺は風魔小太郎への書状を認め終わると自分の名前と花押を書き紙を乾かしながら何か妙案がないか考えはじめた。
江川英吉を更に
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