第一章 天下統一編
第十一話 策謀
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思う。
「それは買い被り過ぎでは無いですか? 国人領主は口で忠義を言っていても情勢次第で簡単に裏切ります。殿の話では北条は堅牢な城に長期間籠城し敵の兵糧が切れるのを待つ戦い方を得意とするという。ならば、北条の本拠である小田原城が落ちねば降伏はせんでしょう」
藤林正保は曽根昌世の考えに否定的なようだ。
「殿、風魔衆を召し抱えるつもりはございませんか?」
「長門守、風魔衆が俺に従う可能性はあるのか?」
「風魔衆から接触がありました。彼らもここにきて風向きが悪くなったことを感じているようです。奴らは前線で活動するため鼻が良くききます。今までとは違うと感じるのでしょう。それに風魔衆は北条の扶持を食んでいるといっても捨て扶持で雇われる身分です。正式な武士とはいえない。徳川家康は風魔衆を拒絶しています。だが、風魔衆にはそう伝手はない。それで接触をしていた私を頼ってきたのでしょう」
俺は思案した。風魔衆は忍者というより賊徒の雰囲気がある。
「風魔衆は私に降る条件に何を掲示している?」
「殿の家老として仕えさせて欲しいとのことです」
「俺の家老!?」
俺は驚いてついつい地が出てしまった。どういう了見でそんな要求をしている。
「関白殿下に伝手を頼みたいでなく、俺みたいな小身の家老になりたいのか?」
「知行もなく捨て扶持で雇われる風魔衆が知行安堵状を欲する訳がないです。彼らはしっかりとした地盤が欲しいのだと思います」
「それを私が与えてくれると考えているのか?」
「少なくとも殿なら話は聞いてくれると思ったのでしょう。召し抱えた家臣達を探れば分かることです」
俺は沈黙し考えた。曽根昌世は話に参加してこなかった。俺に一任するということだろう。これは俺が決めることだからな仕方ない。
「風魔小太郎はただ家老にしてくれとは言っておりません。殿に頭領、風魔小太郎、の娘を差し出すと申しております」
「長門守、嫡子ではなく娘か?」
俺は苦笑いしながら藤林正保に尋ねた。藤林正保は頷いた。人質なら嫡子を差し出すのが筋だろう。それは出来ないか。そんな真似をすれば北条氏に感づかれる。
「風魔小太郎には娘しかいないのか?」
「風魔小太郎には男子が数人おります」
「それで娘か」
俺は興味を失ったように呟いた。
「風魔小太郎は俺を舐めているのか?」
俺は怒りを隠さず藤林正保に言った。
「風魔小太郎は殿のことは舐めてなどおりません」
「人質は男子を差し出すが道理だろう。嫡子ならば北条家に気取られるためと言い逃れも出来ようが他にも男子がいるのなら到底承服できない」
「風魔小太郎は言葉通り娘を差し出すと言っております。殿に娘を献上すると言っているのです」
「長門守、俺が十二歳だと伝えて
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