第一章 天下統一編
第十一話 策謀
[2/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た。しばらくすると家老三人が集まってきた。俺は家老達に軍議の内容を説明することにした。
「関白殿下から韮山城攻めに加わるように命令を受けた。それと韮山城主、北条氏規、を降伏させ身柄を拘束しろと直々に指示を受けている」
俺の話に家老達は驚いた表情になり沈黙した。これから攻める城の城主の身柄を拘束しろとは無理難題もいいところだ。北条氏規を降服させることが俺にできるのか不安しかない。面識のない俺の言葉に北条氏規が耳を貸すと思えない。
「無傷ででしょうか?」
藤林正保は沈黙を破り俺に質問を投げかける。
「北条氏規を無傷で拘束しろとは命令されていない。まあ無傷にこしたことはないだろうな。死ぬような傷を負ってなければいい」
家老達は安堵の表情に変わる。北条氏規を殺したり廃人同然にしたら徳川家康の俺に対する心象は悪くなるに違いない。それだけは可能な限り避けたい。
最悪の事態に陥り北条氏規を殺すしか道がない場合、俺以外の武将が止めを刺すように仕向ける必要がある。誰に殺させるか。血の気の多そうな福島正則にするか。福島正則は確か秀吉に仕官する前に人を殺している狂暴な男だ。
「韮山城攻めに参加する方々の名前をお聞かせくださいますか?」
曽根昌世が韮山城攻めの軍の陣容を聞いてきたから俺は包み隠さず説明した。
韮山城攻めの総大将は織田信雄。
参加する武将は織田信包、蒲生氏郷、稲葉貞通、筒井定次、生駒一正、蜂須賀家正、福島正則、戸田勝重、岡本良勝、山崎片家、中川秀正、森忠政、細川忠興、俺。
軍の陣容を話し終えると、曽根昌世だけでなく藤林正保も懸念があるのか渋い表情になった。岩室坊勢祐は彼らの反応とは異なり気に留めている様子はなかった。
「生駒親正が参加するのですか?」
「参加する。惣次大夫と伊賀守には俺から伝える」
藤林正保の問いに俺は即答した。この惣次大夫と伊賀守の名はそれぞれ十河存英、十河保長という。彼らは津田宗恩の紹介で俺の家臣になった。十河存英は俺の一歳年上、十河保長は俺の二歳年下だ。二人とも元服をしていなかったため俺が烏帽子親となり急遽元服させ、十河存英に七百石を十河保長に五百石をそれぞれ与えた。三万石の大名だった讃岐十河家一門には心苦しいが今の俺にはこれ以上出せそうにない。この二人には戦働きを期待していない。期待しているのは彼らに追従してきた十河旧臣達だ。彼らは十河家嫡子、十河千松丸、の件で生駒親正を八つ裂きにしたいくらい憎んでいる。
十河存英と十河保長、それに十河旧臣達によると、十河千松丸は生駒親正によって毒殺されたと訴えている。ただし証拠はない。だが、十河存英達の話を聞くと状況証拠から生駒親正は限りなく黒だ。十河千松丸は生駒親正の元で養育されたが、生駒親正からは疎まれて
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ