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神様になって世界を裏から操ります、黒幕は精霊です〜箱庭の絶対者〜その3
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ぎた。しかし、商品は全く売れていない。アーサラから昨日のうちに教えてもらった青空市場にモンタナは来ていた。都市一番の青空市場らしく、その広さには驚かされた。馬でも使わないと一日ですべての店を見きることは叶わないだろう。
朝早く市場についたとき、風の精霊使いが<移動>によるテレポートサービスをしていると聞いて、納得した。とても人の足では見て回れない。モンタナも好奇心からテレポートサービスを受けた。精霊使いが何事かを詠唱すると、次の瞬間には別の精霊使いの元へと飛んでいた。
<移転>は、二人の風の精霊使いの間を行き来できる魔法で、本人が飛ぶ<転移>よりも飛距離や効率性の点で優れているという。
一瞬にして風景が切り替わりしばし茫然としてしまう。拍子抜けといえばそうかもしれない。もっと複雑な儀式を行うのかと思っていたからだ。事実、血統魔法の<テレポート>を見たことがあるが、手間とコストのかかる儀式が必要だった。
精霊魔法の可能性について思案しながら、指定された場所へと向かう。悪くない。なかなかいい立地だった。他国からの行商人が集まるスペースのようで、優遇されているらしかった。
天気も快晴。まだ春を迎えて間もなく、とても暖かい。だからこそ、商売の成功を確信していたのに??。
「??なぜ誰もこない」
自信をもって商品を並べてみたものの、一向に客は来ない。周囲は大勢の人でにぎわっている。隣の露店は人だかりができているというのに。ああ、あれは連邦の卵細工じゃないか。あんなものが人気だなんて……。
天気も快晴で、人々の顔も明るい。よくよく見れば、誰もが身なりがよく、金を持っていることがわかる。精霊国の市民が裕福である証拠だ。種族も様々で、ヒューマン、ビースト、エルフにドワーフまでそろっている。さすがにデモニックはいないようだ。
暇を持て余しながら、観察を続けていた。そう、これは商売のための情報収集なのだ。そう自分に言い聞かせていた。
おかしい。待てど暮らせど一向に見向きもされない。さすがにおかしい。王国を出るときに、確かにこの木彫りの工芸品が流行していると聞いたのだ。確かな筋からの情報である。情報料は高かったが。
露店で、悄然としていると、見覚えのある少女がにこにこしながら近寄ってきた。
「ああ、王国の木彫りのお守りね。先日ホープウッド商会が、王国まで転移網を伸ばしたらしくてね。大量に売られたうえに、もうブームは去ってるよ」
知らなかったの? とアーサラに同情された。結局、アーサラに相談したところ、タネが分かってきた。始まりは、サラマンダリアで人気のとある精霊使徒が、木彫りのお守りを愛用していると噂されたことだった。そのお守りは簡素ながら見事なあつらえだったらしい。
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