114部分:弓と雷とその五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
弓と雷とその五
「ハイプリーストですか・・・・・・」
イシュタルの言葉は当たっていた。プリーストが昇格しハイプリーストになると杖だけでなく魔法による攻撃も出来るようになる。これによりハイプリーストは強力な戦力となる。
魔道部隊や騎士団だけではなかった。解放軍の戦力は強力だった。
弓兵部隊はソードマスターやフォーレスト、シーフファイターといった高位の軽歩兵とウォーリアやジェネラルといった重歩兵、ドラゴンマスターやファルコンナイトからなる飛兵、ボウナイトやデュークナイト、スナイパーといった高位の職種で編成されていた。武器も高位の魔法や武具で固められシャナンやアレスは神器まで持っていた。ここの将兵の強さはフリージ軍を圧倒していたのである。
加えてオイフェの優れた戦略戦術とセリスのカリスマ性による団結、さしものイシュタルも遅れを取った。
「最早戦線は立て直せませんね」
イシュタルは総攻撃に移った解放軍と崩れはじめた自軍を見て嘆息混じりに言った。
「後方のレンスター攻略はどうなっていますか?」
「思わしくありません。我が軍の攻撃を凌いでおります」
将校の一人が首を横に振りながら言った。
「そうですか・・・・・・。もうこれ以上の戦いは無意味ですね」
「では・・・・・・」
「全軍コノート城まで撤退します」
「はっ」
「レンスターの三姉妹にも伝えなさい。レンスター東で合流しコノートまで退くと」
「はっ」
そしてイシュタルの黒い瞳が強く光った。
「傷付いた将兵から順に戦線を離脱しなさい。後詰は私が務めます」
「えっ・・・・・・・・・」
将校は思わずイシュタルを見た。だがその強い決意を見て黙って敬礼で返した。
フリージ軍は退却を開始した。イシュタルの言葉通りまず負傷した将兵から戦場を離脱し続いて足の遅い歩兵、そして騎士団が退却していった。
「アレス王子、勝負は後日だ!」
ラインハルトも一騎打ちを中断し戦場を離脱していく。アレスも解放軍騎士団も追撃をかけようとするがフリージ騎士団の振り向き様の魔法攻撃に阻まれ思うように進めない。
フリージ軍は順調に戦場を離脱していく。解放軍を組織的な魔法攻撃と弓で寄せ付けない。
「敵ながら見事だな」
ラルフがボソッと漏らした。解放軍が思わず感嘆する程見事な退却戦だった。
「これは容易に進めないね」
セリスはフリージ軍を見ながらオイフェに言った。
「はい。激戦で将兵にも疲れが見えますし追撃は翌日以降にしましょう」
解放軍とフリージ軍が互いに全力をもって激突した『レンスター〜アルスター間の戦い』はフリージ軍の必勝戦術であるテルシオとカラコールを機動力を生かした一点集中攻撃と抜刀突撃により破った解放軍の勝利に終わった。参加兵力はレンスター城攻防戦を含めると
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ