第7章 聖戦
第161話 魔将ダンダリオン
[10/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
優しい姉と言う設定に相応しい内容だと思う。……言葉の内容自体は。しかし、その言葉を発した彼女からは、どう考えても優しげな、などと言う雰囲気以外の物を発しているのは間違いない。
ただ……。
「いえ、不満などはありませんよ、姉上」
表情を消し……と言っても、流石に完全な無表情にするのは難しく、少し眉根を寄せて仕舞う俺。
そう、頭の中では理解している。俺が居なかったこの二か月近い間は、ずっと相手のターンだったと言う事が。それまで奴らが準備してあった物が一気に表面化して、此方が防戦一方だったと言う事が。
確かにこの件。俺が再召喚された今日起きた出来事に関して言うのなら、当然、他にも言いたい事がある。
事件が起きる前。わざわざ首謀者どもを泳がせるような真似などせず、もっと早い段階で反逆者どもを一網打尽にしても良かったのではないか。更に、わざわざ他の貴族が集められた召喚の儀式場までヴェルフォールを招き寄せる意味などあったのか。彼奴だけ他の場所でも良かったのではないか。等々……。
但し、それも終わって仕舞った事。おそらく、あの場で俺はヴェルフォールのすべての攻撃を無効化して見せたし、俺自身はさつきから貰った火避けの指輪を持っていたので無傷で終わる公算は大きかったと言えるでしょう。
そして、俺よりも準備に時間を費やす事が出来たイザベラの方は、おそらく俺が行っていた防御用の術式以上の準備が為されていたはずですから。
例えば、湖の乙女=長門有希には、原理ははっきりしませんが、俺よりも強力な対物理攻撃用の斥力フィールドのような物を展開させる能力は有りますし、俺以上に高い科学的な知識を持っているのも間違いない。
更に言うと、ダンダリオンは俺以上に高い魔術の知識を有している魔界の公爵さまですから。
この二人が居るだけで、俺よりも強力な防御の術式を組み上げる事は可能。……だと思う。故に、あの鏡の間にはかなりの強度を持った術式が構築されていた可能性の方が高い。
確かに絶対に安全……とは言い切れないけど、それでもかなりの安全は担保されて居た以上、ギャラリーたちには歴史の目撃者に成って貰った方が後々にプラスになる事が多いと思うから。
「当然なのです。そもそも肝心な時に居なかったマヌケが不満を抱くなど烏滸がましいにもほどがあるのです」
大体、戻って来る事は難しくても、言葉を送るぐらいは出来たはずなのですよ。
成るほど、確かにそうだ。神の言葉を聞く、と言う類の術式なら幾つかあるはず。まして俺はダンダリオンの真名を知っているのだから、彼女を直接召喚せずとも、言葉だけ。知恵だけを借りる方法はあったはず。
こりゃ、ダンダリオンが怒るのも分かるような気がするな。少なくとも、向こうの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ