第7章 聖戦
第161話 魔将ダンダリオン
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未だしもイザベラに邪推をさせる原因となっているのでしょうが……。
ただ――
ただ、少なくとも俺と彼女ら。タバサや、このハルケギニアに召喚されてから契約を交わした精霊王たちとの関係は……あぁ、いぇいな関係ではない。今の処は。
大体、そうなる前に人生自体が終わって仕舞う可能性が大なのですから。
それに……と、短く区切った後、
「ダンダリオンが居なければ、親父の暗殺未遂や今回のヴェルフォールの策謀を完全に防ぐ事は難しかったはずだから……」
流石にダメ人間は言い過ぎじゃないかね。……と言ってくれるイザベラ。
ただ、成るほど。ジョゼフ王の暗殺未遂ね。確かに今のガリアは王一人に権力が集中し過ぎているのは間違いない。少なくとも議会は存在しない。有力貴族も居るには居るが、彼らも王の親政に口を挟む事はない。
それに、邪魔に成りそうな王太子の姿も見えない。ならば、ジョゼフ王を暗殺して仕舞えばガリアは終わり、そう考えたとしても不思議でもない……か。
何時までもダンダリオンの相手をしている訳にも行かないか。どう考えても、イザベラの話は長い話に成りそうだから。
自らが地球世界で経験して来た事も説明するとかなり長い話になるのは確実なのだが、おそらくソレ以上に長い話となるのは確実なイザベラの話。
ならば、その前に……。
「……それで、姉上。件のヴェルフォール卿は?」
一応、ハルケギニアに戻って来た途端に対峙した相手だけに最初に聞いて置くべきですか。そう考え、ハルケギニアに戻って来てからずっと被り続けているガリアの王太子ルイの仮面のままで問い掛ける俺。
もっとも、流石にこの部屋。ヴェルサルティル宮殿の最奥に当たるこの辺りまで踏み込んで来る貴族など存在しないし、更に魔法を使用した諜報や、科学的な諜報さえも不可能。……とまでは言わないが、俺の科学的な知識で知っているレベルの諜報ならば、絶対に盗み聞きなど出来ないレベルの魔術的な防衛は施してある。
故に、苦手なキャラを演じる必要など本来はないのだが……。
「あのカブ頭かい?」
妙に自信満々で偉そうな態度だったから招き入れてみたけど、蓋を開けて見れば独創性の欠片も感じさせない愚物に過ぎなかったね。
かなり冷たい口調でそう言うイザベラ。当然、その愚物の相手をさせられた。それも、奴にとっての見せ場をわざわざ作ってやらなければならなかった俺の徒労感と言う物に対する褒賞は一切感じさせる事もなし。
もっとも、その辺りは仕方がないか。流石に危険だと分かっている相手。例えばゲルマニアの暗黒の皇太子ヴィルヘルムや、自らの事を名づけざられし者だと言うあの特徴のない東洋人の青年は、流石に危険過ぎて此方の本拠地の最深部にまで招き寄せる訳には行かない。
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