第7章 聖戦
第161話 魔将ダンダリオン
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がないのだが、もし、あのウィンの月に俺がイザベラの発していたはずの違和感に気付いていれば、……ラ・ロシェールで出会った暑苦しい傭兵隊長ラウルの言葉。「ガリアでは辺境。北の方の領主がきな臭い動きをしている」この言葉の内容をもっと深く考えて居れば、今回の反乱騒ぎは未然に防ぐ事も出来たのではないか、そう考えられるのだが。
しかし、俺の言葉など端から聞く心算のない彼女。本当に話を聞く心算があるのなら、何処で聞こうが問題はないはず、なのです。
……と至極真っ当な台詞を口にするダンダリオン。ただ、その真っ当な台詞に続けて、
「そもそも私は、シノブに口答えをする自由を許した覚えなどないのです」
本当に少し自由にさせ過ぎたのです。矢張りシノブのようなダメ人間は私のようなちゃんとした人間が常に傍にいて見張っていないと、ロクな事にはならないのです。
もしも〜し、俺の基本的人権が完全に蔑ろにされていますよ、ダンダリオンさん。そう言うツッコミを入れようか少し悩む台詞を口にする彼女。
確かに、普段の俺には少々だらしない処があるのは認めますが……。
例えば、自らのケツに火が着かない限り動き出そうとしない処とか。特に日常生活に於いてはそう言う例が幾らでもあるから。そう考えながら、それでも俺が何故、ハルヒの相手が真面に出来たのか。その理由がこの瞬間に分かったような気がする。今までは前世の色々な記憶を持つが故に、俺自身が見た目よりも精神年齢が高く、ハルヒのような人付き合いが苦手で、異性とどう付き合って行けば良いのか……距離感を掴みかねている少女が何を言おうと気にならないだけ、そう考えていたのだけど、どうやら俺はハルヒと出逢う以前にちゃんと躾けられていたらしい、と言う事が分かった。
もっとも、ソレももしかすると精神的に成長した、と言える状態なのかも知れませんが。
「それぐらいで許してやったらどうだい、ダンダリオン」
確かに、何処かに出掛ける度に周りを囲む女の子の数が増えているのは事実だけどね。
先ず、自らの左隣に座る聖スリーズ様を見つめ、その後、俺の両脇に腰を下ろす無表情の少女二人、最後に何故か非常に不機嫌そうな炎の少女を順番にその蒼い瞳に映してから、嘆息混じりにそう言うイザベラ。ただ、彼女自身は助け舟を出してくれた心算なのでしょうが……。
しかし、多分、俺たちの関係を勘違いしているでしょう、彼女……らは。
そう考えた瞬間、何故か聖スリーズこと精霊女王ティターニアと視線が合う。その時、彼女は小さく首を横に振った後、微かに彼女に相応しい、……地球世界の弓月桜に良く似た笑みを見せてくれた。
……こう言う、何と言うか、目と目で通じ合っているような部分が、ダンダリオンは
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