第7章 聖戦
第161話 魔将ダンダリオン
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…武神忍と言う偽名を名乗る少年を一人前の術者として育てている心算なのかも知れませんが……。
……などと呑気に考えながら、そのダンダリオン、そして彼女の隣に座るイザベラ、妖精女王ティターニアの対面側に腰を下ろす俺。毛足の長い絨毯は柔らかく、大理石の床に直に敷かれているとは思えないほど暖かかった。
その俺の右側にタバサが、左側に湖の乙女が腰を下ろす。
そして、何故だか非常に不機嫌な気配を発しながら最後に部屋に入って来た崇拝される者は、一瞬、視線を彷徨わせた後に、仕方なくと言う雰囲気を発しながら円卓のタバサの隣を自らの居場所と定めた。
しかし……。
「シノブ、オマエはまた私の話を聞いていなかったのですか?」
私はここに来て座れ、と言ったのです。聞こえて居るのなら、さっさとこっちに来やがれ、なのです。
しかし、先ほどの会話は既に終わった物と早合点した俺に対して、そう言って来るダンダリオン。
相変わらずの不機嫌そうな口調のままで――
成るほど、先ほどの言葉は自分が不機嫌だぞ、……と言う自己主張だけではなく、本気でそう考えて居たと言う事ですか。
ただそれだと――
「おいおい、ダンダリオン。その配置だと姉上の話を聞くのに多少の不都合が生じると思うのですが」
そもそも俺がここに呼ばれたのはイザベラから話があると言われたから。おそらく、俺が居なく成ってからの世界の流れについての説明が為されるのだと思う。
確かに円卓と言うのは基本的に立場に関係なく活発に議論を行う為に使用される事が多いのだが、それにしても主に発言をする役割のイザベラの左横顔を見つめながらでは流石に問題がある。
特にイザベラは本心を隠す事が多い相手。こう言う相手はちゃんとその人物の発する気配を掴んで交渉して置かないと、こちらの意図と違う結論に辿り着く可能性が高い。
そう、俺の誤算はルルド村の事件に送り込まれた事。確かに一度、地球世界……長門有希が暮らす世界に流される事となるのは今まで経験して来た前世でもお約束のような物。この部分に関して言うのなら、そう成る事を事前に予期していなかった俺に防ぐ術はなかったと思う。
俺の記憶が確かならば、前世でもルルド村の吸血鬼事件の後に長門有希が暮らす世界に流されたのは事実。但し、あの時はルルド村の事件が解決して、その事後処理を行っていた最中。湖の乙女が俺を朝、起こしに来た際。今回の人生で言うと「わたしの事を嫌いにならないで欲しい」……と彼女が言った朝と同じシチュエーションの時に起きた異常事態だった。
しかし、その事によってガリアに内乱が起きているのもまた事実。
確かに起きて仕舞った歴史に対して……たら、……れば、は意味がない。意味
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