第7章 聖戦
第161話 魔将ダンダリオン
[3/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で一度や二度なら使ってみたくなるのだが、しかし、現実に使ってみるとその消費される槇の量に愕然とさせられた大理石の暖炉は開店休業状態。二十一世紀の科学技術に裏打ちされたエアコンと言う文明の利器が絶賛稼働中の室内。その春の陽気に設定された空気は、むき出しの……長い柱廊を進み来る間に真冬の大気に凍えさせられた身体を優しく温めてくれる。
部屋の中央にはクルミ材製の円卓……と言うか、俺の感覚から言うと馬鹿でかいちゃぶ台。その周りにはクッションと言うよりも、座布団と言った方が相応しい四角く、中に綿……このハルケギニア世界では非常に珍しいエルフ経由でもたらされた東方原産の綿が詰められた布製の代物が適当に並べられている。足元にはエルフの国から輸入されたソレと比べると未だデザインや品質に於いて劣るものの、それでもジョゼフの命により作られた工房にて織られたガリア産の絨毯が床を覆う。
まぁ、トリステインのフランドル地方が旧教の連中に完全に制圧されて仕舞ったので、そちらの新教に属する職人たちをガリアに受け入れる事で、これから先のガリアの絨毯工房が発展して行く可能性は高いでしょう。
……地球世界と同じような歴史を辿るのなら。
もっとも、あれはフランスの話などではなく、確かイギリスの話でしたが。
但し、現在のアルビオンは旧教が完全に支配した、新教に取っては正に地獄と言っても良い国のはず。
おそらく清教徒革命当時のアイルランドで起きた悲劇が、今のクロムウェル統治下のアルビオンでは起きているのでしょう。地球世界のカトリックとプロテスタントの立場を丁度入れ替えたような感じで。
そう、木綿や織物に関してもこの世界ではアルビオンなどに渡す事はない。砂糖、お茶などと合わせて、その辺りの利権はすべてガリアで押さえる。
ここから更に進めてハルケギニア世界の産業革命もガリア発で起こす事となる。
問題は奴隷も、そして植民地も作らずに、それを成し遂げられるかどうかだけ。
ただ……。
ただ、そのような明るい未来に対して少し相応しくないのだが、心の中でのみ強く舌打ち。確かに、転生前の俺が何を考えてこんな複雑怪奇な方法。最初からハルケギニア世界での転生を望まず、他所の世界に転生。其処から召喚される事に因って、この世界に足を踏み入れる……などと言う事を為したのか、その理由は定かではない、のですが。
そう考えてから少し方向転換。よくよく考えてみれば、仮説ぐらいならその理由を挙げられる事にその時、気付いたから。
それは、俺のような存在の世界に与える影響が大き過ぎる事。確かに良い方向にだけ大きいのなら問題はないのだが、悪い方向にも大きい可能性が高い。故に、その辺りを嫌ったのが、この複雑怪奇な状況を作り出した原因ではないのか、……と考
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ