MR編
百四十四話 一知半解
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える場所を記したメモを渡して、買い物組が空へと飛び立つ。残ったメンバーはサチとアスナ。合流すれば他のメンバーにも簡単なものを手伝ってもらうつもりだが、とりあえずは、最も時間のかかる物に取り掛かれるこの二人だ。
「じゃ、いこっか、サチ!」
「……あ、アスナ!」
飛び立とうと羽を広げたアスナの事を、不意にサチが呼び止めた。
「?どうしたの……?」
サチは、ひょっとすると今までみたどの表情よりも、真剣な、けれど、苦しそうな顔をしていた。相変わらず、言葉を選ぶように少しタメを作ると、彼女はゆっくりと話し出す。
「ごめん……私、やっぱり……アスナに、話さなきゃいけない事があるの……」
「…………リョウの事?」
察しを付けるのに、時間はかからなかった。この状況と今までの彼女の様子ならば、そうだろうと思ったのだ。予想通り、サチはコクリと一つうなづく。しかし続いた言葉は……
「アスナには、ホントはもっと前に話さなきゃって、思ってたの……」
「話すって何の事を……?」
「……私の……私が、リョウに、気を遣わせちゃった理由……多分、それが今度の事の原因だから……」
少しだけ、予想の範疇の外になる言葉だった。
「私の……昔話なの」
「……サチの?」
その時唐突に、アスナは思う事になる。自分は案外、この大切な友人たちの事を、それほどよく知っているというわけではないのかもしれない、と。
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