MR編
百四十四話 一知半解
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ンの身体に三本の傷を残す。周囲の歓声と共にクラインが豪快な笑みを浮かべたがしかし、一つ、彼には計算外のことがあった。切りつけたホーンのHPが、それだけでは削り切れなかったことだ。
「ん?」
結果……
「ふげっ!!?」
切りつけられた衝撃で空中で体制がが割ったホーンの角が、クラインの鼻っ面を直撃し……
「テッチ、アブねぇ!!」
「?」
ジュンの警告に反応する間もなく、デュアルホーンの巨体がテッチの上へと落下した。
「「「て、テッチ―!!」」」
絵面的に明らかに潰された形になったテッチに向けて、頭から着地したクラインを含めた周囲の全員がその名を叫ぶ。次の瞬間にはテッチのリメントライトが出ることを覚悟しながら、落下ダメージによって、ホーンの巨体が消滅する地面を全員が凝視した。
と……
「……ふぅ、驚いたっス……」
「「「て、テッチ―!!」」」
相変わらずの細目で盾の陰からテッチが姿を現す。どうやら衝突時のダメージを断てと防具で受けきったらしく、特にHPの減少もないその姿に無事を確認した仲間たちから先ほどと全く同じ内容に歓声上がった。肩に斬馬刀を担いだリョウも一つ安堵の息を吐くと、不意に後ろから高い声がする。
「何してるのよ貴方達……」
「お、よぉ、休憩か?」
「男どもがさぼらないように発破かけに来たのよ、ほらアンタたち!いつまで奇跡の生還やってんの次に行く行く!!時間限られてるんだから!!」
怒鳴り散らしながら、アウィンはしっかりとテッチの様子を確かめ、特に問題なさそうだと判断すると、クラインやジュンたちの下へと行くように促す。元々、アウィンはリアルでもそうだが、生粋のリーダーシップを持っている。しかし反動のようにVRでは効率を重視する時と程度の野良パーティで、それ自体も組んでいる事はそれほど多くはない……何方かといえばソロのプレイヤーなので、実は彼女のこういう姿をVR(こちら)で見れる機会は少ない。
「張り切ってんなぁ食材屋」
「“元”よ。モタモタされるとノルマが終わらないのよ。人数が人数なんだから」
「そらそうだわな」
苦笑して肩をすくめ、リョウは斬馬刀を担ぎなおす。
「そんじゃ、俺もさっさと戻りますかね」
「あ、ちょっと」
「あ?」
不意に呼び止められて、眉をひそめてリョウは振り返る。アウィンは彼の顔を数秒眺めると、ふん、と少し意外そうな、思い過ごしを確認するような顔をした。
「ふぅん?今日はしゃんとしてるわね、貴方」
「あぁ?」
何を言ってるんだお前はとでも言いたそうな顔で首を傾げるリョウに、アウィンは髪おうっとおし気に払いながらいった。
「この前の、普段の倍くらいうっとおしい顔じゃないわねって意味よ」
「……その口ぶりだと、お前が普段から俺の顔にイラついて
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